片岡 丈哉 (八王子田田店長 兼 商品課)
入社年:2012年
出身:東京都/立川高校
東京・八王子にあるAZismのラーメン店『田田(ダダ)』。店長を務める片岡丈哉はいま、商品開発を兼務している。新たな味のラーメンをつくりあげ、AZismの新ブランドとして世に送り出すという仕事だ。もともとは「マネジメントに興味がなく、店長就任の打診があったときもいちどは断った」という片岡が、彼ならではのマネジメントのあり方にたどりつくまでのストーリーを追った。
僕はいま、『田田(ダダ)』という二郎系インスパイアのラーメン店の店長をまかされています。AZismには家系ラーメンの『大和家』というブランドがあるのですが、そちらはセントラルキッチンでスープをつくっています。一方、『田田』のほうは、個々のお店で骨を煮込んでスープをつくる。お店ならではのラーメンの味を追求できる余地が大きい。職人肌で、ラーメンづくりが大好きなので、僕自身、よく厨房に立っていますよ。
店長と並行して、AZismの商品課にも所属。商品開発にも取り組んでいます。自社ブランドの新しいラーメンをつくって、ヒットさせるのが目標です。いろいろな食材や調理法を試しながら、これまでになかった、うまいラーメンをつくる。店長との兼務は大変ではありますが、ものすごく楽しい仕事なので、苦にはなっていないですね。
店長にも商品開発にも、共通して必要なことは「お客さんを知ること」だと思うんです。「これはおいしいラーメンだ!」と職人のこだわりをもってお客さんに提供することは大事ですが、それだけになってしまうと、ひとりよがりになってしまう危険もある。お客さんのことをよく観察して、お客さんの声に耳をかたむければ、なにを求めているのか、わかってきます。
それに気づいたのは、店長になってから。それまでの私は職人かたぎの悪い面が強く出ているタイプ。「おいしいものをつくりさえすれば、お客さんは来る。マーケティング? プロモーション? あまり意味ないよね」って。でも、店長になると、AZismでは研修や勉強会などの機会が多くあるんです。そこで繁盛店にしていくさまざまなテクニックを学び、実地に試していくなかで、マーケティングやプロモーションの効果に気づかされました。
たとえば、社内で販促用POPの勉強会があって。「学んだことを自分の店でためしてみよう」と思いました。まず、お客さんの行動をよく観察することに。すると、気づいたんです。カウンター席に座ったお客さんはラーメンが出てくるまで、ヒマなので、目の前に置いてあるメニューとかをけっこう、読んでいるんですね。「それなら、カウンターテーブルの前、厨房の手元を隠すための低い壁にPOPを貼ったら読んでくれるかもしれない」と。
そこで「こんどの開店5周年記念日は割引価格です!」というPOPを貼り出したところ、効果てきめん。その日、おおぜいのお客さんがいらっしゃって、業績の数字がボンっと伸びたんです。それからはPOPをはじめ、プロモーションにチカラを入れるようになりました。
僕が職人かたぎなのは、父親の影響が大きいと思います。父は歯科技工士。義歯をつくる職人です。その背中を見て、僕も歯科技工士の道へ進み、父の仕事を手伝うように。でも、3Dプリンターなどデジタルなものづくりがより進化すれば、職人は不要になっていくのではないかと心配になってきたんです。ちょうど結婚しようとしていた時期。将来的に安心して家族を養っていける仕事をしたかった。それを父に話すと、「好きなようにしていいんだよ」と。
それで転職先を探しているとき、AZismで社員を募集していることを知りました。もともとラーメンが好きで、『大和家』の常連だったんです。飲食業はなくなることはない。そのなかでもラーメンはまだまだ需要がある。「これだ!」と思って入社を決めました。
入社後、2年半ほど『大和家』で働いたあと、会社から「店長にならないか」という打診をいただいたんです。でも、マネジメントに興味がなく、ひたすらラーメンをつくるのが好きだったので断りました。その後、「『田田』に異動して3年がたつころ、また「店長に」という打診。こんどはお引き受けしました。ちょうど2番目の娘が生まれたとき。店長になれば収入がアップしますから。いまでは、決断してよかったと思っています。店長として、お客さんのことや店づくりのことを、これまでとはまったく違う視点で見つめなおすことができて、職人としての自分にとってもいい影響があったと思います。
「客に出すときは100点のものを出せ」。これは、僕の父の口ぐせなんです。義歯からラーメンにつくるモノが変わっても、つねに心にとめている言葉。ただ、店長になってから、言葉のもつ意味が変わってきました。「自分が100点だと納得できるものを出せ」から、「お客さんが100点をつけてくれるものを出せ」へ。これから、店長としても商品開発としても、お客さんに100点をつけてもらえるものを提供していきたいですね。
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