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ガーデンコート船橋三山

ケアマネ日記(5)介護を変えていく

本人が望む最期をー。
数々のお別れを通してケアマネが学んだ
リビングウィルについて話し合う大切さ。
深い思いを感じます。

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プロフィール

ガーデンコート船橋三山「笑門来福日記」
タブーを変えていく
https://garden-miyama.hatenablog.com/entry/2022/06/08/144636
振り返り、前に進もう
https://garden-miyama.hatenablog.com/entry/2019/12/27/000000

タブーを変えていく

グループホームにご入居中のある男性は
肝臓がんを患っています。
もう何年も前から。

副作用のきつい薬を飲み
頭痛や倦怠感に悩まされながらも
在宅で一人暮らしをしてきました。
人の役に立つこと人に
喜んでもらうことをしてきた人です。

病気は少しづつ
その人の出来ることも
ささやかな楽しみも奪っていきます。
一人暮らしは限界でした。

小規模多機能による支援から
グループホームへの入居にスライド。
見知った顔のスタッフたちが毎日のように部屋を訪れます。
『○○さ~ん元気?』
『調子が良ければ小規模のフロアに遊びにきて~(^^♪ 』
ベッドに寝たまま「お~ぅ」と手をあげて応じる男性。

軽度の物忘れはあっても
ご自身の置かれている状況は
きちんと理解されている男性です。
身体のあらゆるところに浮腫がまわり
痛みで眠れないのは病気が悪化しているせいだと思う…
自分はもう長くないよ…と話されます。
私は言葉を選びながら聞きました。

『 病気がさらに進んだとき○○さんは、
病院に行く方が安心?それもひとつの選択です。
また、今お世話になってる訪問診療で
痛みを楽にしてもらいながら
ここで生活することもできます。
その時は私たちが
身の回りのお手伝いをさせてもらうからね』

しばらくの沈黙のあと…
「 迷惑かけちゃうかもしれないけど
最期までここに居たいな~と思ってる。
それでもいいかね…?』そう言いました。

後日、ご本人の意志をご家族と共有。
方針は決まり、
DNAR⤵
【終末期における心肺蘇生の意志確認書】
の取り交わしを行ないました。

認知症であるというだけで
何もかもが判断できないわけではない。
ご自身の最期をどうしたいのか、
そこには どんな選択肢があって
その先にどんな生活があるのかを伝え
本人の意志を聞いておくこと。
大切なことだと思うのです。

“どんな最期を迎えたいですか?”

介護の現場で、
この手の話しはタブーであるという認識が
これまではあったと感じています。
本人に関わる大切なことが
本人のいないところで決まってしまう。
そういうことが多すぎました…

本人の望まぬ形で
最期を迎えてしまったつらい経験があるから。
意思表示ができるうちに
リビングウィルについて
話し合う機会をつくること、
私たち支援者が
考えていくべき
大切な問題だと思っています。

振り返り、前に進もう

2019年。
ガーデンコート船橋三山では
グループホーム、小規模多機能
合わせて7名の皆さまとの
お別れがありました。
うち5名は 
90歳以上の方々。
 
怒られたり笑い合ったりして
共にすごした日々は
私たちスタッフにとって
大切な時間でした。
 
支援者として 
“ご本人の望む最期 ”の
お手伝いが出来たのだろうか。
 
そう振り返る時に
忘れられないエピソードが
あります。
 
(๑・㉨・๑)・ᴥ・( ᐡ ᵔᴥᵔ ᐡ )(◍•㉦•◍)๑ ワン!
 
小規模多機能で、
在宅生活を支援してきた
ひとりの女性。
2014年 ~ 2019年までの約5年
ガーデンを利用されました。
 
 
大正生まれ。
筋の通った頑固さをもつ
凛とした女性でした。
大きな事故の後遺症で右手は
ほとんど使えなかったけれど
ガーデンに来るのが何より好きで
熱があっても
具合が悪くても 
自分ひとりで身支度を整え
迎えの車を待っている
そんな日々が何年も続きました。
 
しかし
年を重ね、体が弱くなりました。
感染症をくり返し
起きられなくなりました。
通ってくることも難しくなり
訪問がメインの支援に。
スタッフが午前、午後で
訪問し 身の回りのお手伝い。
食事はほとんど摂れていません。
ゼリーやアイスなど
食べれるものを少しでも口に
入れてもらうよう関わりました。
ガーデンに通って来る日は
皆さんが過ごすフロアの
日当たりの良いソファが定位置。
いろんな声を聴きながら
過ごしてもらいます。
 
 
小規模多機能の他にも
訪問診療、訪問看護。
訪問マッサージ、訪問歯科。
多職種が連携しました。
 
同居の息子さんも
仕事の合間に
できる限りのケアを
されていました。
 
状態は横ばい。
良く言えば「安定」…
 
でも息子さんにしたら
“この生活いつまで続くんだろう…”
先の見えない介護生活への
不安が強くなったのです。
 
ガーデンの宿泊を使っても
毎日は泊まれない。
 
「サービス関係者が 日に何度も
出入りする生活に疲れてしまった…
母親には悪いけど
看取りまでやってもらえる施設を
探しています」
そう話されました。
 
ご本人をお風呂に入れたときに
二人きりになったので
聞いてみました。
「 これからの生活のこと、
息子さんは色々と考えている
みたいです。お母さんが安心して
過ごせる場所を探しているよ。
〇〇さんはどうしたいですか?」
 
 
『 私は、今のままがいい。
ナナ(亡くなった愛犬)の
眠っている自分の家で、
ガーデンの皆さんに来てもらって
過ごしたいです。
どこにも行きたくない』
 
 
息子さんの気持ち。
ご本人の思い。
 
 
まもなくして息子さんは
介護付き有料老人ホームを
見つけてきました。
1週間の体験入居を経て
問題なければ、本契約となるそうです。
 
出発の朝
ご本人は 『 行かない!』と
ベッドにしがみつき
抵抗したそうです。
息子さんは心を鬼にして
本人を説得し
車に乗せたと聞きました。
 
体験入居。
決まった時間に職員が起こしにきて
食堂にお連れするものの
慣れない環境…
知らない人たち…
提供される食事は
ほとんど食べることが出来ない。
それ以外の時間は
部屋で一人っきりの
1週間。
 
本契約を迎える日、
息子さんが手続きのために
施設に行くと
血相を変えた職員さんが
呼びに来たそうです。
容態が急変し、
お部屋でひっそりと
息を引き取っていたのです。
 
息子さんは
涙ながらにこの経緯を話して
くださいました。
「 ガーデンさんにお世話に
なっていたら母は今も
変わらずに過ごしていたと思います」
 
 
1週間。
ご本人がどういう思いで
過ごされたのか。
 
考えると苦しくなりました。
 
ご本人の思いを叶えるために
息子さんに後悔させないために
もっと説得すればよかった…
 
“ 私たち小規模のスタッフも
一緒に頑張るから
在宅で最期までお手伝い
させてください ”って
強く言えばよかった…
 
 
☪︎⋆。˚✩✩°。 ⸜( ॑  ॑ )⸝☪︎⋆。˚✩☆。.:*・゜
 
 
今年1年を振り返るとき、
7名の方々とのお別れには
それぞれに“想い”の残る
エピソードがあります。

そして。
この女性を想うとき
胸の奥をギュッと
締めつけられる
この感覚を 忘れてはならないと
自分に言い聞かせます。
 
 
7名の皆さんを偲び
在りし日の笑顔を
思い出しながら
ガーデンコート船橋三山は
新しい年を迎えます。

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