■S.T.(ダイレクトマーケティング専門家)
Amazonや楽天といったネット流通サービスの普及によって、地元の住民だけが買っていた商品でも、全国で、さらには海外で買ってもらえるチャンスが生まれた。S.T.は、そうした機会を捉えて「販売網を拡大しよう」という地方企業のEC展開を支援するエキスパートだ。今回は、FBマネジメントが地方の老舗企業に提供している成長支援プロジェクトに、スキルリターンとして参画しているS.T.を取材。どのような成果をあげ、どのように地方企業の発展に貢献しているのか、語ってもらった。
では、調味料を販売している地方の食品会社のケースをお話しします。地元の人達から「美味しい!」と評判の調味料。「全国で売れるはずだ」と、大手ネット流通会社を通して、EC展開にチャレンジしていました。ところが、経費ばかりかかり、利益が出ず、実際は赤字。そんなつもりもなかったのですが「ECで全国の消費者に届けるという夢は、あきらめざるを得ないのか…」と。
ECから撤退する前に、何が問題なのかを調べ、再構築できるか検討するプロジェクトが始まり、私が参画することに。そこでまず、顧客が利用したネット流通会社のサービスの効果測定を実行。その結果をもとに、ネット流通のグローバル企業に乗り換えることを提案しました。そのグローバル企業は、物流倉庫が充実している。そのため、冷蔵や冷凍のコストも含めた運送費が圧縮できるから。また、配送スピードもアップするので、「今すぐ調味料が欲しい」という、業務用のニーズにもこたえられる点も大きかった。「一般消費者だけでなく、飲食店などの業務用の市場も開拓できる」と考えたのです。
ネット流通会社を変更した結果、一般消費者向けも伸びましたし、業務用の取り扱いも大幅に増加。オーナー経営者の方からは「S.T.さんの判断は正しかったですね」と、高く評価していただきました。
そうとは限りません。例えば、東北地方で練りものを製造・販売している会社の例。地元の小売店に商品を卸し、消費者からも好評で、業績は堅調でした。しかし、東日本大震災により、環境は一変。原材料の仕入れ先も商品の販売先も、多くの取引先が震災の被害に遭い、潰れてしまった。「このままではウチも危ない。販路を拡大しなければ」ということで、私にご相談いただいたのです。
地域住民の方々から「美味しい」という評価を勝ち取っていた商品なので、全国の消費者をターゲットにして勝負したい。そうした方針の下、市場環境の調査を実施しました。それで分かったことは、60代を中心としたシニア層がメインの市場であること。また、冷蔵・冷凍して運送するコストが掛かるため、全国展開している練りもの製造・販売企業は少なく、チャンスがあることも判明しました。
そこで私が提案したのは、新聞広告を出すこと。ECは検索ありきのマーケットというデメリットがあります。検索数を企業側が意図的に増やすことができません。例えば。かまぼこを売りたくてもECにはかまぼこと検索する市場数が限界なのです。顧客ターゲットであるシニア層の一番の情報源だからです。「スマートフォンで流通サイトにアクセスし、購入ボタンをクリックする」という行動様式は若い世代のもの。シニア層をメインターゲットにするなら、ECは不向きなのです。私の提案通り、新聞広告を出して通販の体制を整えた結果、徐々にファン層を増やすことができ、全国展開への足場を築くことができました。
私は、小さい頃から数字が好きな方でした。社会人になって、複数の会社でビジネス経験を積んだのですが、その中で通販事業に魅了されて。ダイレクトに数字で結果が見えるし、数字が伸びれば評価される世界だからです。とてもやりがいを感じて、「この分野を自分の領域にしよう」と。今は、FBマネジメントのスキルリターンも含めて、様々な案件でEC展開など、通販事業の立ち上げ・改善のプロジェクトに携わっています。
成長意欲の高い地方の優良企業の案件が多いので、プロジェクトの予算規模が大きいことがあげられます。そのため、1つのプロジェクトで幅広い取り組みができたり、大きなチャレンジをしたりできる。こうした優良企業の顧客を自分で開拓するのは、至難のわざなので、非常に魅力的だと思います。
また、FBマネジメントの成長支援サービスの一環としてスキルリターンのプロジェクトを推進しているので、何か問題が起きた時、山田さんに相談できることも大きい。例えば、あるプロジェクトで、顧客企業側のリソースの問題から、「意思決定や実行のスピードが遅い」と感じることがありました。プロジェクトの成否に関わってくる問題だったため、私から山田さんに相談したところ、顧客側と調整してくれて。解決したことがあります。
私が自分で開拓した案件であれば、一人で顧客と折衝しなければならないので、角が立ってしまって、その後のプロジェクト進行に支障をきたしてしまいかねない。しっかりしたバックアップがあることで、存分に腕が振るえるのはありがたいですね。
実業型のコンサルタント、そして私自身が多柱経営を手がけること。
コンサルティングでは顧客企業の経営者に伴走しながらコンサルティングを提供していくことで、「経営者として一緒に成長していきたい」と考えています。今後は、様々な業界の案件を手掛けて、経験値を高めていきながら「自分らしいコンサルティング」を模索していきたいと思っています。
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