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【技術責任者インタビュー】あくなきチャレンジ精神が生んだ“ひずまない”溶接技術

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PROFILE

新里 将吾(取締役工場長)

ミマツは、発電所や変電所の設備として使われる製品を主に手がけている。金属板を加工し、溶接して、高い精度と長期的な耐久性が求められる一品生産の架台や容器に仕上げる。製缶の分野における高度な技術力から、大手メーカーから直接、仕事を受注するほど。今回は、ミマツが蓄積してきた独自の技術力の詳細と、その源泉となっている社員の“クラフトマンシップ”や、難しい案件にあえて挑む企業風土などについて、取締役工場長の新里将吾に解説してもらった。

プレス機を自作して一品生産に対応

まず、ミマツがどんな製品を手がけているのか、解説をお願いします。

主に電源開発の現場で使われる、圧力容器、配管用架台、パイプや弁の部品をつなぐ配管用フランジなどがあります。また、変圧器や開閉装置などを設置する際の支持具として、重量物を乗せるための仮設資材「ブラケット」、現場の方々の作業をやりやすくするためのハシゴ、手すりなどの製造にも対応していますね。

いずれも、鉄、ステンレス、アルミ素材などの金属板を切り出し、溶接して目的の形状に仕上げる“製缶”の領域に属する製品群ですね。

はい。製缶領域の製品の中でも、電源開発関連の製品は、全て一品生産であるという特徴があります。発電所や変電所は建設現場のロケーションなどによって、設備の仕様が異なってくるからです。しかも、電気は産業や生活に欠かせないインフラなので、設備の不具合によって施設の稼働をストップさせるわけにはいかない。

たとえば、仮設資材であっても、「ブラケットの寸法の精度が低くて、上に乗せた装置に傷をつけてしまい、装置に期待された本来の機能を果たせなかった」などということは、絶対に許されない。また、高熱のボイラーや高圧電流が流れる電線などがあり、一つ間違えれば命に関わる現場なので、はしごにも高い精度と長期にわたる耐久性が求められます。圧力容器など、設備の中心を構成する製品であれば、なおのこと高いレベルの完成度を要求されるんです。

技術的に高度な要求に、ミマツが応えられる理由を教えてください。

オーダーメイドに対応する手作業にこだわりを持つ、“クラフトマンシップ”のある技術者が活躍してくれているからです。1回1回の溶接作業について、ひずみが出ていないか確認し、調整していく。技術者全員が、確かな溶接のテクニックがあるだけでなく、「絶対にひずみを出さない」「寸分の狂いもない状態にするまで妥協しない」というこだわりを持っているんです。

それに加えて、技術者の手足となる設備・機械についても、こだわりを持って導入してきました。例えば、工場に設置しているプレス機は、ミマツが独自開発したもの。小さな製品にも対応できて、高精度を実現できるプレス機は、大量生産用の大型のモノばかり。設備投資が巨額になってしまうため、ミマツのお客様のニーズに合った加工ができる機械を、私たち自身で企画し、設計し、製造したんですよ。

不可能を可能にするチャレンジ精神を大事にしています

加工機械を自作! こだわりの一端がうかがえますね。では、そんなミマツが、お客様の高度なご要望にお応えできた事例をシェアしてください。

そうですね、それでは、ある電源開発の現場で、ブレイカーを収める容器を製造した話をさせてください。他社さんがいちど、その容器を製造したんですが、破断を起こしてしまった。作り直すにしても、納期が非常に厳しく、他社さんは音を上げてしまったんです。そこで、ミマツにご依頼いただいた。

ウチの技術者は図面を一目見て、特殊な設計であることがわかったそうです。通常、ブレイカーはブレイカー、容器は容器でそれぞれ設計し、余裕を持って収まるようにするもの。でも、そこではブレイカーと容器を一体で設計していた。そのほうが機能を発揮しやすいメリットはありますが、容器の形状が特殊になるし、寸法の精度も高いものが求められる。最初にその容器を製造した他社さんは、通常の製造方法で対応してしまったため、不具合を起こしてしまったのです。

ミマツでは、どうしても無理がある部分だけは、「設計を変えましょう」と提案。それを受け入れていただいた上で、全社員が連携して製造に当たった。結果、しっかり機能を果たせるだけの精度を確保したモノを、納期厳守で完成させることができました。

お客様からは、どのように評価されたのでしょうか。

高く評価していただきました。正直、この仕事だけではそんなに利益が出ていないですが、次の仕事につながったんです。お客様との信頼関係が築ければ、お金は後からついてくるもの。ですから、ミマツでは、ハードルが高く、同業他社さんが「難しい」と敬遠するような案件こそ、積極的にチャレンジしていくことを大事にしています。

お客さまが必要とする機能・用途をイメージしながら製作する

なるほど、顧客第一主義を貫くためのチャレンジ精神なんですね。そうした精神を醸成するために、技術者たちにどんな教育をしているのですか。

若手の職人には、「図面を“眺める”のではなく、“読める”ようになろう」と伝えています。私たちは、図面を見て、それに基づいて製品を作るのが仕事。つまり、図面を眺めているだけでは何もできない。図面から、お客様がその製品を使う姿をイメージして、その製品が実際に機能するシーンを頭の中で思い描く。それが、図面を“読める”ようになるという意味です。使う立場になって物事を考えてこそ、価値のある製品が作れる。

私自身、ミマツに入社してから、熟練の技術者である先輩方による、そうした指導のおかげで、今があります。

最後に、お客様に向けてメッセージをお願いします。

ミマツは、様々なご要望に対して柔軟に対応して、精一杯の努力をさせていただきます。「クオリティ」「コスト」「納期」など、全てにおいて評価いただけるように最善を尽くします。難易度の高い製品も含めて、ご用命があれば承りますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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