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【TOPインタビュー/創業ヒストリー】
“意欲があれば誰でも輝ける場所”。そんな会社を福岡に立ち上げました

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PROFILE

土屋 隼人(代表取締役社長)

2022年の人口増加数が全国の自治体の中でトップ(総務省『住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数』)と、活況に沸く福岡。その心臓部・天神に本社オフィスがあるT-ONEは、福岡エリアの中小企業・小売店・飲食店に向けた経営コンサルティング事業を手掛けている。特に、経済産業省の「IT導入補助金」を活用したDX推進コンサルティングが、多くの地元経営者から支持され、急成長中のベンチャー企業だ。今回は、T-ONE代表の土屋隼人を取材。「地域密着型ベンチャー・T-ONE」はどのように誕生したのか、創業ヒストリーを語ってもらった。

新規事業を次々に成功させた実績をもとに起業

──まずは、土屋さんがT-ONEを立ち上げるに至った経緯を聞かせて下さい。昔から「起業しよう」と志していたのですか。

そうですね。起業を考え始めたのは、新卒で就職した営業会社で働いていた頃。実力主義の会社だったから、営業で優秀な成績をあげていた人は、若くして独立していった。それを眺めながら、自分自身の営業スキルが上がっていくにつれて「いつかは自分も」と。そして、勤務先で高い実績をあげ、最年少で執行役員にまでなった先輩が起業した営業会社へ転職。「尊敬する先輩のもとで経営を学び、起業するための修行をしよう」と考えたのです。
 
今、T-ONEは福岡エリアの中小企業・飲食店・小売店へコンサルティング営業を展開していますが、私自身が若手メンバーに営業のノウハウを伝授しています。それができるのも、私が営業会社で経験を積んできたことが大きいですね。

──先輩経営者のもとで、起業するためのスキルは身についたのでしょうか。

はい。振り返って考えると、「新規事業担当」として、何度も新しい事業の立ち上げを任せていただいたことが、有難かったですね。ウォーターサーバー販売事業、ポケットWi-Fi販売事業、人材ソリューション提供事業──。当時、私が起案して事業化の責任を担ったプロジェクトで、赤字になったものはありません。常に設定した予算を達成していましたね。ゼロベースでスタートさせた事業を軌道に乗せていくことを何度も繰り返す中で、「経営者になれる!」という自信を深めていきました。

若手が「真の営業力」を磨けるビジネスを

──営業スキルや事業運営スキルを磨いた上で、最終的に 起業を決意した時のことを聞かせて下さい。

いくつもの要因が重なって決断しました。まず、勤務先が「IPOをしない」と決めたこと。当時の私は、「上場企業の取締役になって、もう一段、経営的な視座を高める」ことを目指していたのですが、様々な事情からIPOの計画は白紙化され、勤務先での「次のキャリア」が見えなくなってしまいました。
 
また、勤務先の営業のやり方に対して。「もっと違う方法があるはずだ」という想いが強くなってきたこともあります。勤務先のビジネスの中心は、個人宅向けの通信回線の販売。お客様と長くお付き合いすることは少なく、「売ったら終わり」が多い。営業成績をあげるために、本当にお客様が必要としているわけではない商品を売りつけてしまうケースも出ていました。
 
それを見て、私は「法人相手のビジネスをやってみたい」と思いました。企業経営を支援する様々な商材を扱い、お客様が企業成長していくお手伝いをさせていただくビジネス。「人を見抜く目」をお持ちの経営者を相手に、人間性を信頼していただかなければ、お付き合いできない。でも、いったん信頼していただけたなら、長いお付き合いができます。若手にビジネスパーソンとしてのモラルを持ってもらい、真の営業力を鍛えるのに、もってこいのフィールドだからです。

──T-ONEが創業以来、中小企業や商店など、法人の経営を支援するビジネスを展開している背景には、そのような想いがあったのですね。では、どうして福岡という地域に拠点を置いたのか、その理由も教えて下さい。

勤務先の福岡拠点で責任者を務め、この地の可能性に魅力を感じたことが1つ。それに、プライベートの事情もあります。福岡出身の妻と結婚したので、「子育てには、東京よりも落ち着いた環境で、妻の実家からの支援も受けられる福岡がいいだろう」と。妻も起業を応援してくれたこともあり、福岡で会社を設立することにしたのです。

──様々な縁があって、「福岡の中小企業・商店に経営支援サービスを提供するベンチャー企業、T-ONE」が誕生したのですね。土屋さんが感じた「福岡の可能性」について、解説をお願いします。

日本経済全体が少子化の影響で沈滞する中、発展するアジアに対する窓口となる街だということが大きい。「日本からアジアに進出する拠点」としても、「アジアからの進出を受け入れる窓口」としても、福岡は有利な位置にある。アジア市場を組み込んだ事業計画が立てられるので、中小・ベンチャー企業でも成長が見込めます。また、インバウンド需要があるので、個人商店でもやっていけます。可能性は無限大だと思いますね。

──では、その可能性を現実化するために、福岡の課題となっているポイントは何でしょう。

東京に比べれば、DXが遅れていることでしょうか。IT系の企業・人材は東京に集中してしまっているので、「どのITプロダクト・サービスが自社に適しているのか」「どうやってITプロダクト・サービスを導入・運用すればいいのか」がわからない。だからこそ、それを支援するコンサルティングにニーズが大きいのです。

地元企業300社のDXを支援しました

──なるほど。T-ONEが経済産業省の「IT導入補助金制度」を活用した、起業のDX推進コンサルティングを主力事業としているのは、そうした背景があるからなのですね。では最後に、今後の成長戦略を教えて下さい。

T-ONEは創業以来、これまでに福岡の約300社の中小企業・商店について、経営支援サービスを提供しました。今後はさらに支援領域を拡大していく計画です。例えば、今年から食券式でサービスを提供している飲食店などに向けて「券売機の導入・入れ替え」の支援に取り組んでいます。2024年7月前半を目途に新紙幣が発行されるので、券売機の刷新が必須になる。それを「IT導入補助金制度」を活用して推進するのです。
 
券売機のようなハードウェアは最近、補助金交付の対象になったので、補助金活用コンサルティングを提供しているライバル会社の大半はノウハウを持っていない。でも、T-ONEは若く、意欲にあふれた人材が多く在籍していて、全員がそうした新しい分野を勉強し、いち早く取り組む意識を持ってくれている。ですから、他社に先駆けて、お客様のお役に立つことができています。今後も人材の採用と育成に力を入れて、5年後には売上高100億円の企業に成長していたいですね。

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