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【さいわい保育園 園長】職員どうしの良好なチームワークがすこやかな子どもをはぐくむ

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PROFILE

鈴木香織(さいわい保育園 園長)

中仙道の宿場町として栄えた歴史をもつ東京・板橋。この地域にある「さいわい保育園」は、日が暮れてから園舎の窓ガラスに映る明かりが、“行灯”に見えるようにデザインされている。宿場町の“おもてなし”のよき伝統を受け継いでいることを象徴し、子どもたちを迎えに来る親をやさしく照らし出すのだ。この園舎は、特定非営利活動法人キッズデザイン協議会が主催する2012年度「キッズデザイン賞」に選ばれている。園の運営主体は、埼玉県を中心に保育園や高齢者施設を展開する社会福祉法人・永寿荘。園長を務める鈴木香織に、「人財サービスを手がける大手企業で働いていた」という鈴木ならではの保育士さん育成術を聞いた。

心地よい園に必要な「大人どうしの配慮」


「さいわい保育園」の最大の強みは「チームワーク」。子どもたちは毎日8~9時間、起きている時間のなかでは家にいるよりも長い時間を保育園で過ごします。たとえるなら、保育園は「大きな家」。家にいる大人たちが仲よくしていれば、子どもはとても安心しますし、落ち着いてくれます。しかし逆に、大人どうしがギスギスして、おのおのが思う“正しさ”を振りかざしあい、内輪喧嘩ばかりしていればどうなるでしょうか。子どもはビクビクし、生きた心地がしないでしょう。大人どうしが心地よくかかわりあっているかどうか、子どもたちは敏感に察知しますからね。

だからこそ、大人どうしが配慮しあい、相手の気持ちに寄り添う言葉がけをしていることが最重要になってきます。私は、保育士にいちばん必要なのは、知識でも経験でもなく、「大人どうし配慮できること」だと考えています。これは人に「先生」と呼ばれる保育士になるための、必要最低限の準備ではないでしょうか。


このような話を、私は園長として2日にいちどくらい、繰り返しみんなに伝えています。「保育で多少の失敗をしても、経験不足でもかまわない。ただし、大人どうしの配慮を欠いてはならない」と。大げさな話ではないんです。疲れていそうな同僚がいれば、自然に声をかける。「なにか困っていないかな?」という気持ちで、ほかの先生や隣のクラスにも関心をもつ。そうやって、どんどんお節介をしあえばいいと思うんですよね。「さいわい保育園」の保育士さんたちにはこの考えが浸透しているので、毎日のように「手伝うよ、今日はこっちの仕事が少ないから、そっち行くね」という会話が自然に聞こえてきます。パートの職員さんにも「今日はあっちのクラスを助けてあげてほしい」などとお願いしているんですね。これは理屈ではできないことなんです。

こうした部分を、あと回しにしている現場は意外と多いように思います。「自分のクラスだけは一生懸命やっている」という状況になっている保育者・教育者はたくさん見かけますから。もともと責任感の強い人が多い業界。「寝る時間を惜しんでもやってあげたい」という思いで残業をしたり、仕事を自宅にもち帰ったりしがち。でも、みんなでおぎないあっていれば必然的に残業は減る。働き方改革をやっているところは多いと思いますが、チームワークがないと結局はうまくいかないと思うんです。

「子どもと向きあわない仕事」を減らす改革


「さいわい保育園」でも、働き方改革を強力に推進しています。保育の仕事には、「子どもと向き合う仕事」と「向き合わない仕事」の2種類があります。自宅へのもち帰りやサービス残業になっているのは、すべて後者の仕事なんです。うちはこの部分の業務効率化に、かなり注力しています。機械ができるものは機械にやってもらおう。印鑑じゃなくサインで済まそう。保護者への情報配信はスマホで。ペーパーレスでいけるものはそうしよう──。いろいろやっています。昔のやり方にもよいところはあるのですが、時間と体力は限られているのですから、「保育士にしかできないこと」を優先すべき。先生たちには1秒でも早く帰ってもらって、翌朝、子どもたちに元気に向き合える状態で来てもらいたいですね。


ただ、「子どもと向き合わない仕事」のなかで、研修への参加だけは削らないようにしています。永寿荘の合同研修会が年に数回あり、外部のオープン研修へも定期的に送り出しています。さらに、今後は自分たちで高めあっていく園内の研修会もやっていきたい。自分たちの保育を自分たちで見直す時間は、絶対に必要。明日の保育について自分たちで語りあうフィードバックの場は、きちんと定例化していきたいと思っています。それは、チームワークのさらなる強化にもつながるでしょうから。

開園から8年目。最初からチームワークの強い園だったわけではありません。少しずつ、価値観を浸透させていき、「この価値観に共感できない」という方は採用しないことで、強固な職場風土をつくっていきました。また、5年ほど前から新卒採用の割合をぐっと増やしたことも大きかったかもしれません。新卒の先生たちは、既成の概念にとらわれず、永寿荘流を受け入れてくれやすい面があります。私たちの園づくりの価値観に共感してくださる就活生の方々には、ぜひ、「さいわい保育園」に足を運んでいただき、価値観が実際に浸透し、職場の文化として根づいていることを確認していただきたいですね。

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