■チューター:中澤智美(入社2年目/今羽の森 介護スタッフ)
■新人:渡部史也(入社1年目/今羽の森 介護スタッフ)
なにかと不安が多い社会人1年目。人と密に接していく介護の仕事では、マニュアル通りにいかないことが多いから、なおさらだ。その不安を払拭し、職場になじめるように、社会福祉法人・永寿荘では「チューター制度」をもうけている。年齢の近い先輩社員が1対1で新人社員の相談にあずかる。今回は新卒1年目の職員とそのチューターを務める2年目職員のコンビに登場してもらった。毎日の仕事や入職した理由、そしてこれからの目標にいたるまで、存分に語りあってもらい、チューター制度がどのように機能しているのか明らかにしたい。
永寿荘は開放的でみんなイキイキしていた!
中澤 渡部さんと私は同じユニットですね。仕事内容は同じだから、まとめて紹介します(笑)。さいたま市北区にある特別養護老人ホーム「今羽の森」で、10名の入居者さんを担当しています。食事や入浴・排泄の介助などの日常生活のサポートと、レクリエーション活動がおもな業務ですよね。
渡部 はい。あと中澤さんにはチューターとして、私のサポートもたくさんしていただいています!「今羽の森」に配属になって以来、毎日ずっとお世話になっています。私が入居者さんとお話している際、状況を見守って助け舟を出してくださったり。「不安なことはある?」となんども気づかってもらったりと、つねに働きやすい環境づくりをしてもらっています。
中澤 配属当初から、どんどん成長してきてますよね。そんな渡部さんは、どういう経緯で永寿荘を選びましたか?
渡部 母親が訪問介護員で、姉も特別養護老人ホームで働いていたので、福祉の仕事が身近にあったんです。自然に福祉系の大学に進みました。永寿荘を選んだのは、ほかの施設に比べてスタッフと入居者さんの距離が近くて、「本当の家のようなあたたかさがあるな」と感じたから。「アットホームなここならば、自分も明るく楽しくやれるんじゃないか」と思い、決めました。
中澤 私とかなり家族の環境が似てますね!うちも母が老人ホーム、兄が障がい者施設に勤務していて、家族に福祉系の仕事をしている人が多かったんですよね。大変な仕事だとはいわれるけれど、そのぶん、人の役に立てるやりがいや喜びも大きい仕事だと知っていたから、迷いなく福祉系の大学へ進みました。
渡部 そうだったんですね!それに、永寿荘は若いスタッフが多くいて、それもいいなと思いました。イキイキした雰囲気があるなって。
中澤 確かに、ここはとくに若いスタッフが多いですよね。毎年必ず新卒が入っていることが大きいのかも。私は就活中、かなり多くの施設を見たんですけど、「退屈そうな顔をしている入居者さんが多いな」と思った施設もあったし、ちょっと暗かったり、閉鎖的だったりするところもありました。でもここは地域交流が多いからか、施設全体に明るさがあって。「入居者さんもスタッフさんも、どちらも活気があるな」と感じました。保育園を併設している施設もあって、小さい子どもと交流している点なんかも、ほかと違うなと思いました。新しいことをやろうという姿勢があるし、発想が柔軟な人が多いですよね。
チューター側も一緒に成長させてもらえる
渡部 中澤さんはいつも、やるべきことを事前に想定して動かれていますよね。急なトラブルがあってもペースが乱れないので、なんというか、仕事ぶりにすごく安心感があります。まわりのみなさんもそう感じているのではと思います。いつも明るいですし、入居者さんからも愛されていて「中澤さん、いつ来るの?」と聞かれることも多いです。「どうやったらこんなふうになれるんだろう…」といつも思っています。
中澤 ほめすぎです(笑)。もともとお年寄りが好きなんですよね。「自分の祖父母が、もしこういうところで暮らしていたら、私のいまの対応はどうだったかな?」って自分の家族に置き換えてかえりみることは多いかもしれない。「自分の家族だったらこう対応してほしい」って考えれば、わかるでしょう?
渡部 そうですね。あと、中澤さんは入居者さんお一人おひとりに対する適切な距離を、しっかり心得ているので「すごいなあ」と思います。私もそのような関係になれるよう、勉強中です。
中澤 謙虚ですね。渡部さんのそういう謙虚さは、配属当時からずっと変わらないですよね。物腰がやわらかくておだやかな雰囲気だから、入居者さんから人気があるし。ユニット内のスタッフも「渡部さんが入ってきてくれて、いっそうユニット内のキズナが深まった」と感じていると思いますよ。渡部さんがいつも私たちの指導を前向きに受けとめてくれるし、疑問を素直にたずねてくれるから。
それに私も、チューターをしていて逆に学ばされることも多いんですよ。「新人のころの感覚を忘れかけていたんだ」と、渡部さんが気づかせてくれるんですよね。
渡部 そうなんですか!? たとえばどんなときにですか?
中澤 たとえば、入居者さんが疲れていて、たまにご飯を食べないで寝てしまうことがあるでしょう? 前にそれがあったとき、渡部さんが「中澤さんだったら、どういう対応をしますか?」と質問してくれて。「続けて食べていないような場合は、すすめたほうがいいこともある。食欲がわかないなら、好きなおやつなどで代用する方法もあるし、時間をずらして、起きられる時間に食べていただく、という方法もある。食後でなければ服用できないお薬を飲んでいる関係で『どうしても食べていただかなきゃ』という方には、ナースさんと相談したうえで、ご本人に話して食べてもらうこともある」。質問してもらってこういう具体的な説明をしていたら、私も改めて意識し直すことができました。「自分だって1食くらい抜いちゃう日もあるし、よしとしてしまうことがあったな」って。
しっかり成長できているから、もっと自信をもって!
渡部 せっかくの機会なので、私の課題だと感じていることがあれば、ぜひ教えてください。
中澤 「ひとりでがんばりすぎているんじゃないかな?」と感じる場面はあるかも。私たちをもっと頼ってほしいです。あと、入居者さんとの接し方も介助技術も、立派に成長していると思っているので、もっと自分に自信をもって、業務にのぞんでほしいです!
渡部 まだ自信がないので。「自分の介護って、みなさんから見てどうですかね?」っていつも聞いてしまっていますよね。ただ「第三者視点は大事にしたい」と思っているんです。もっとも、そればかりを基準にしてしまうと、自分がなくなってしまうので難しいところなんですが…。
中澤 そうだったんですね。確かにそれも大事な視点ですよね。
渡部 ひとりで全部やるのはまだ不安があって。頼りになる先輩ばかりなので、つい「誰か一緒にいてください」とお願いしてしまっている。そういう自覚はあります。とはいえ、回数を重ねるごとに安心してできることは増えてきましたし、それを重ねていけば、自信になることを実感しています。残りの新人としての期間をがんばって、この1年でそれなりに「これが自分のめざす介護職のありかただ」という目標の姿が見えてくるんじゃないかな、と思っています。中澤さんほどの優秀な先輩にはなれないとは思うんですが、来年になれば後輩も入ってくるのでがんばりたいです!
中澤 頼もしいですね。その調子!
「自分を見つめ直せる環境」をつくってもらっている
中澤 私は2年目だし、ベテランのスタッフさんよりは1年目のときの気持ちがわかる存在だとは思うんですよね。毎月1回、「今月どうだった?」という振り返りをする時間もありますしね。永寿荘ではこの時間を「打ち合わせ」ではなく、「心合わせ」と呼んでいて。
渡部 いつも具体的に、的確なアドバイスをいただけて助かっています。本当は30分程度と決まっているのに、1時間以上、話を聞いてくださることもあって。以前の「心合わせ」で、「入居者さんに対して、おっかなびっくりになっている」とアドバイスをくださったことは、すごくためになりました。ベッドから車椅子への移乗をする際、入居者さんごとに最適な支え方というのがある。ですが、私がそれをわかっていなくて、おっかなびっくりやっていたので、入居者さんにも、私にも、身体にすごく負担をかけていたんですよね。入居者さんに小さなあざができたり、私の腰が痛くなってしまったり。それで介助の方法を相談してみたところ、「自分がおっかなびっくりでいるせいで、身体の距離を必要以上にあけてしまっていたんだな」と気づけました。自分の不安が問題をつくっていたんだなって。
中澤 そのことで悩むスタッフさんは少なくないですよ。ただね、なにもかも私の意見どおりにしなくてもいいですからね。女性と男性は体格が違うし、男性の先輩職員で体型の近い人からアドバイスをもらったほうが、渡部さんの身体の負担が少ない介助技術が学べることもあるな、と思いました。
渡部 はい、そうさせてもらいます!
中澤 自信をもってくださいね。渡部さん、入居者さんにめちゃくちゃ人気が高いんですよ。親しみをもって「お兄ちゃん」と呼ばれていますよね。確実に信頼関係ができているんだなって感じたし、「いつのまに関係を築いているんだろう?」って。「ねえ、お兄ちゃん呼んできて」なんて頼まれることもあって、うらやましい限りです。逆に私が学びたいくらい(笑)。これからも、お互いに高めあっていきましょう!
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