荒田 康泰(あらた やすひろ)
所属:リストホームズ株式会社 建設事業部 企画開発1課・2課 課長
経歴:東海大学(旧北海道東海大学)芸術工学部建築学科卒業 2010年中途入社
趣味:映画鑑賞、読書、ゴルフ
《物件概要》
物件名:リストガーデン赤羽根
構造:木造在来工法
土地面積:150.57㎡
建物面積:117.58㎡
分譲戸数:2戸
竣工:2024年
2024年に東レ主催のラップサイディングフォトコンテストにて、見事特賞を受賞したリストガーデン赤羽根。
湘南エリアでは不利となる「山側」の立地を、消去法ではなく「積極的に選びたくなる魅力」へ転換したことが本プロジェクト成功の秘訣だ。担当となる設計士の荒田に、今回の企画のポイントを聞いてみた。
大学の建築学部を卒業後、最初に経験したのは意外にも注文住宅の営業職でした。当時は図面を書きたいという思いが強かったのですが、リスペクトしていたバイト先の社長から「仕事をする上で、まずは営業を経験しろ」と言われたのがきっかけです。
結局5年ほど営業を続けましたが、この時培ったコミュニケーション能力や交渉術は、今の設計の仕事においても、役所との交渉や関係各所との調整に不可欠な基盤になっています。
そうですね。より専門的な構造設計を学びたいと考え、都内の構造設計事務所へ転職しました。そこはまさに「超理系」のスペシャリスト集団。2年間、計算と図面に向き合う日々でしたが、非常に高いレベルでの技術と精神的なタフさを求められました。
しかし、やはり「最終的にはトータルで住宅をやりたい」という想いが強まり、不動産と建築を融合させているリストのビジネスモデルに惹かれて入社を決めたんです。この「営業」と「構造」という異なる二つの視点を持てたことが、私の設計士としての強みになっています。
リストでは注文住宅の営業職を数年経験した後、分譲住宅の設計へと軸足を移していきます。注文住宅はお客様からの要望が絶対ですが、建売住宅は私たちが企画者として、世の中に新しい価値を提案していく面白さがありますね。

今回の舞台は神奈川県茅ケ崎市の赤羽根という場所です。茅ヶ崎エリアでの住宅検討において、海側(南側)のエリアは非常に人気が高く、いわゆる「湘南スタイル」が定番となっています。
一方で、山側(北側)に位置する赤羽根エリアは、予算的な理由で検討を始める方も少なくありません。
しかし私は、このプロジェクトを始めるにあたって「海側が難しかったから、仕方なく山側へ」というネガティブな動機で選んでほしくない、という強い想いがありました。
その通りです。海側の人気スタイルをそのまま持ち込むのではなく、山側の自然豊かな住環境というメリットを最大限に活かすべきだと考えました。
駅から少し離れた場所だからこそ叶う、開放感や緑との調和。そのエリア特性を正しく理解し、磨き上げれば、海側の物件にはない「ここだけの豊かさ」を生み出せると確信していました。
年齢的には30代中盤~40代中盤くらいの、お子様も大きくなって少し落ち着いた世代のファミリー層です。
駅から少し離れた「山側」という立地をポジティブに捉える、山や自然が好きな人をターゲットとして想定していました。
具体的なライフスタイル像として、広いウッドデッキで家族団らんを楽しんだり、BBQをしたりといった「外の空間」を使いこなしていく、広いLDKや光が差し込む空間で開放的で明るい住まいを楽しんでいく生活を想定しました。

山側の立地を活かす、アウトドアを楽しむ観点から、実は最初ログハウスを検討したんです。天然木を使用した風合いは素晴らしく、ログハウスならではの魅力ですよね。
ただ結論から言うとログハウスは見送り、最終的には「ログハウスをイメージした高品位な分譲住宅」へと着地させました。
ログハウスは本物の木を使うことから、住んでからの定期的なメンテナンスにものすごく手間と費用がかかるんです。そもそもの建築コスト自体も通常の住宅に比べて跳ね上がりますしね。
それは、「真に購入者のためにならないんじゃないか?」と自問自答したんです。住宅を購入した後の生活は何十年と続きます。であれば、コストも手間もできるだけかからない方が嬉しいのが本音。
「本物のログハウスであること」にこだわるよりも、ログハウスのような高揚感やアウトドアスタイルを日常で楽しめる空間を提供することのほうが重要だと考えたんです。
仰る通りです。そこで、今回は木の質感を忠実に再現しつつ耐久性も高い「ラップサイディング」を採用することにしました。LHでも過去にラップサイディングを部分的にアクセントとして使ったことはありましたが、建物のファサード部分全面に採用するのは今回が初めて。当社に限らず他社での事例もほぼ無く、非常にチャレンジングな試みとなりました。

実際の仕上がりが完成までイメージしきれない怖さや不安は大きかったですね(笑)。
非常にデザイン性が高い素材だからこそ、使い方を間違えると途端にカッコ悪い建物になってしまいます。
素材の強さに負けないように建物の形状をあえてシンプルなスクエア(箱型)にしたり、壁面だけでなく軒天井まで木調で統一したりと、細かい部分まで配慮をして設計しました。
他にも、植栽としてボリューム感のあるモミジを使って建物と自然のトータルバランスも整えました。ライトアップされたモミジの影が建物に映し出されるような、一軒家ならではの風情も演出できるよう細かく配置を検討しています。
駐車場の舗装も綺麗な形で仕上げず、あえて幾何学的な形の石や素材を組み合わせることで、他には無いおしゃれでスタイリッシュな印象を演出しました。

ウッドデッキにはこだわりがありますね。単なる庭ではなく、リビングとシームレスに繋がる広いデッキを設置しています。「外に出て家族が団らんできる空間」として設計しており、BBQなどを楽しめるアウトドアライフを提案しています。

他にも、分譲住宅としては極めて珍しく、本物件には暖炉を導入しています。暖炉は今回のコンセプトを象徴するアイテムとして不可欠で、パッと見て「かっこいい!」と感じさせる強いインパクトを生み出しました。
実際に薪を燃やして暖を取るだけでなく、そこにあるだけで空間に「雰囲気」や「風情」を与えますよね。たとえ日常的に使わず「オブジェ」になったとしても、この家で過ごす時間の高揚感を演出する上で、非常に大切だと感じております。

ところが前例がほとんどなかったので、実現までには多くのハードルがありました。私自身も設計として暖炉を扱うのが初めてだったので、煙突の納まりや熱に対する壁・床の保護対応など、技術的な仕様をゼロから勉強しましたね。
また、住宅内で火を扱うため、火災防止や安全基準のクリアも重要です。行政との確認も含めて、大変苦労しましたが、妥協せず最後までこだわり抜いたポイントとなりました。
そうですね。自然を愛する人が好む「明るく開放的な空間」を作るため、20畳以上の広いLDKと、光が差し込む大きな吹き抜けを採用しました。これにより、ログハウスのようなゆとりある住み心地を表現しています。

ええ、そうですね。これらのこだわりが評価され、東レさんが主催するラップサイディングコンテスト2024で特賞を受賞できたことは担当として本当に嬉しかったです。個人的にも本物件はかっこよく仕上げられたと思いますし、販売も好調でお客様にも喜んでもらえました。結果的にはすべてが上手くいったプロジェクトとなりましたね。
「デザイン」と「住み心地」のバランスですね。デザインに寄りすぎると使いにくくなり、逆に使い勝手だけを優先すると地味で面白みのない家になってしまいます。このバランス感覚は、営業職時代に培った「お客様が何を求めているのか?」というユーザー視点が基盤となっています。
注文住宅の営業職をやっていた時は、良くも悪くも「お客様の理想を叶える」ことが仕事でした。家づくりがお客様ありきになるんです。
ところが建売住宅の設計となると、自分の企画が良かったのかどうか、売れるか売れないかで結果としてはっきりと出ます。自分たちが「企画者」として世の中に新しい価値を問いかけ、その反応をダイレクトに受け取れることが、今の仕事の面白さですね。
会社としても今後力を入れていくリゾート物件にチャレンジしたいですね。従来の住宅にプラスαの価値が求められるような、より高度でクリエイティブなプロジェクトです。
また新たなチャレンジとなり難易度は高いと思いますが、建築としての面白さをより深め、自社の技術力を更に高めていきたいですね。

募集要項をご確認の上、ご応募ください。