「これだと9000ニュートンの力しか出せないのか……。あと1000は欲しいな」
夕日が地平線に飲まれていく、日曜日の夕方午後5時。
隣の部屋でぼやく弟の声を聞きながら、私はこのブログを書いています。
どうやら弟は朝起きるのが苦手だからということで、事前に設定した時刻になると、
使用者を物理的に覚醒させるベッドを作っているとのこと。
しかし、そんなものを夜遅くまで制作しているから朝にきちんと起きられないのでは?
と、私は思わずにいられません。
つい先日も、スマホをセットすると自動で左右に揺れ、歩数計アプリの歩数カウントを勝手に増やしてくれる装置を作っていました。
これを使って、歩数計アプリ(カウントされた歩数に応じて、ジュースが無料でもらえるというもの)
の歩数をかさ増しし、ジュースを楽に獲得しようとしていましたが、装置を動かすための電気代がジュースの代金を超えるとのことで、最近その装置は埃をかぶっています。
改めまして、こんばんは。理系一家の中で唯一、文系に進んだ男、渕上です。
本日は、ゴールデンウィークに鎌倉へ行った話をしたいと思います。
ポスト・リンテルは外国籍の社員が多く、帰省が長期間に渡ることを考慮して、ゴールデンウィークが10日間貰えます。
そのため私も重い腰をあげて、自宅から8km程離れた鎌倉へと足を運びました。
弟から託された歩数計アプリ入りのスマホを鞄に入れて、まず向かったのは鶴岡八幡宮。
非常に荘厳な雰囲気で、かつて初めて訪れた時には、なんだか社の奥へと飲み込まれてしまいそうな、不思議な空気が満ち溢れているように感じました。
ただ、私にとって鎌倉は近所であり、鶴岡八幡宮にも既に5回以上は来ているため、参拝が終わったらササっと次の場所へと移動しました。
こちらは、鶴岡八幡宮内にある平家池です。
鎌倉幕府は源氏が開いたものですが、そのライバルであった平家の名を冠する池が、ここ鎌倉に造られたというのは、何となく感慨深いものがあります。
ここで、私は衝撃の事実に気が付きました。
鎌倉で旅行をした話をブログで書こうとして、意気揚々とスマホの画像フォルダを開いたのに、その日に撮った写真はこれだけしかなかったのです。
その日は半日かけて鎌倉の街を歩き回っていたのですが、訪れた名所は、たったこれだけ。
もっと言えば、平家池は鶴岡八幡宮の中にあるため、実質一か所しか行っていないことになります。
そんなはずはない。その証拠に、今私の手元には歩数計アプリがあって、5月6日におよそ2万歩も歩いたことが、しっかりと記録されています。
それだけ歩いておいて、鶴岡八幡宮しか行っていないなんてことがあるのか。
この謎を探るため、少し計算をしてみることにしました。
5.6m[歩幅]×18,000[歩数]=100,800m[歩いた距離]
100,800m÷3.2時間[歩いた時間]≒3.2km/h[時速]
これは、あまりにも遅い。
普段は時速5.5kmくらいで歩いているので、3.2km/hといったら、泥酔しているのではないか、というくらいに遅いわけです。
こんなにたらたらと歩いていたら、観光名所をほとんど巡れていないのも、無理はないかもしれません。
鎌倉は、本当にいい街です。
昔ながらの古い町並みが残っていて、まさに「詫び寂び」という言葉を体現した場所だと言えます。
そんな鎌倉の地を歩くのは、それだけで気分が晴れる。
少し路地に入り、建ち並ぶ民家を縫うようにして歩いていると、まるでタイムスリップしたかのような気分になります。
そして、気が付けば、足並みが非常にゆっくりになっている。
まるで、鎌倉の時間の流れが自分に流れ込んできているかのように、落ち着いた体の動作になっていくのです。
だからこそ、「鎌倉を堪能した」という満足感はあるのに、思いの外観光地を回れていない、という現象が起きていたのでしょう。
私は就職活動中、不動産会社を受けるときには、必ずその会社が手掛けた不動産を見に行くことにしていました。
もちろん、会社が扱っている建物自体も非常に重要です。
しかし、その建物がどんな場所に建っているのか。
街を歩きながら、見て回っていたのです。
不動産は、そこに何が建っているのかだけではなく、どんなところに建っているのか。
それが大切なのではないかと、ポスト・リンテルに入ってから、より一層感じています。
このブログを読んでいる皆さんにも、「街の魅力」を歩いて感じてみて欲しいと思っています。
その時はぜひ、歩数計アプリの入ったスマホを鞄に入れて。
募集要項をご確認の上、ご応募ください。