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【TOPインタビュー】
多様な地域を次世代へ受け継ぐために、古民家でビジネスを創り出す

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PROFILE

■小田切 俊彦(代表取締役)

古民家をホテルやレストランなどへ、リノベーションすることを軸に、まち全体が継続的に栄えるビジネススキームを作り上げ、地域の人々と一緒に運営している「株式会社つぎと」。同社は、古民家が急速に失われていく傾向にストップを掛けようと、立ち上がったベンチャー企業だ。今、1950年以前に建てられた住宅は、5年間に30万軒近く減少。約136万軒しか残っていない(総務省・平成25年および平成30年「住宅・土地統計調査」)現状があるからだ。今回は、つぎと代表取締役の小田切俊彦を取材。つぎとのビジョンや、事業の特徴などについて語ってもらった。

「ゼロから新事業を立ち上げる」経験ができます

──最初に、つぎとは古民家の再生を手掛けることで、どのような世界を創造しようとしているベンチャー企業なのか、教えてください。

古民家を守ることは、その古民家がある地域の“らしさ”を守るということ。それを全国各地で行うことで、多様な地域を持つ日本を次の世代に継いでいく。最終的には、それが、僕らの実現したいことです。
 
古民家はその土地の材料を活用し、その土地の伝統的な工法で建てられ、その土地の風景の一部として、建物そのものが「地域らしさ」を体現しています。ただ一方で僕らは「古民家のみを保存し、護る」だけでは意味がないとも思っています。それ以上に、その古民家で営まれていた地域独自の“なりわい”こそ、「地域らしさ」を本当に体現するものだと思います。
ですから“なりわい”の場を、まずは復活させることが重要。つまり、古民家の再生を起点として、その地域で成り立つビジネスを企画し、地域の人々と僕らが一緒になってプロジェクトを運営していく。その結果、地域の人々に利益が還元され、地域がにぎわいを取り戻す。それが僕らの仕事です。

──なるほど。つぎとは「新事業をゼロから立ち上げ、利益を出し続けるように運営していく」という、高度なビジネススキルを必要とする仕事をしているわけですね。

特に、つぎとでエリアマネージャーを務めるメンバーは、古民家をどのように再生させ、どのように地域の人々を巻き込み、どのようなビジネスを運営していくか、企画から実行まで一気通貫で取り組んでいます。それも、過疎化が進行し、そもそも商圏が成り立っていない田舎で。苦労の多い仕事ですが、だからこそ大きなやりがいがありますね。

地域の人々に利益を還元できる仕組みを追求

──良く分かりました。では、つぎとが手掛けたプロジェクトの中で、「地域の人々に利益が還元されるビジネスの仕組みを創った」代表的な事例をシェアして下さい。

いくつもありますが、私自身がエリアマネージャーとなって推進した、鹿児島のプロジェクトのことをお話ししましょう。2022年6月30日に、築120年の武家屋敷を改修した宿泊施設「RITA出水麓 宮路邸(いずみふもと みやじてい)」がオープンしたところですが、出水市が所有している武家屋敷を僕らが賃借をして、宿泊施設として改修し、運営をしています。
 
改修資金については出水市からの補助金と、鹿児島銀行からの融資で資金調達をしましたので、これから僕らは事業を通じて地域の金融機関へ利子を付け返済を行い、家主である出水市には家賃をお支払いすることで事業の利益を還元していくつもりです。また今回、施設で働く支配人は本事業のために姶良市から出水市へ移住してきてくれました。そして、お迎えする宿泊客の皆様へも積極的に地域の商店街を利用してもらう仕組を支配人らと考え実践しています。チェックインしたらもらえる「RITAそらきゅう」というお猪口を持って連携店舗を訪ねると、おまけや割引をもらえる仕組です。
今はまだ、小さなトライアルでしかありませんが、市外から呼び込む観光客に、地域でショッピングや観光をしてもらえるように、今後も様々な仕掛けを企画しています。このプロジェクト全体で、地域の人々に多くの利益を還元していきたいです。

──どのような経緯で始まったプロジェクトなのですか。

本事業は出水麓という伝統的建造物群保存地区(以下、伝建地区)内での事業になるのですが、出水市さんが僕らの他の伝建地区での事業を知って、ご連絡頂いたのがきっかけです。この武家屋敷は、薩摩藩時代の武家の暮らしを継承している建築として、価値は高かったのですが、有効に活用出来ないでいた。「地域振興に繋がるような活用方法はないか」とのご相談を受けて、僕らで出水麓全体の活性化計画をまとめ、その第一弾の企画として宮路邸は開業しました。今後、この出水麓にある他の空き家の武家屋敷も活用し、2棟目3棟目の滞在施設を開業していき、薩摩の武家屋敷の特徴や、出水麓の歴史を伝える分散型のホテルとして地域を盛り上げていきます。
 
このように、自治体や地域振興に携わっている方々から、ご相談いただくケースが増えています。現在、僕らが手掛けているプロジェクトは約40件。僕ら自身が、地域のまちづくり事業者として参画しプロジェクトを推進していくので、いったんスタートしたら、「まちづくりが終わる」ということはない。ですから、案件は増えていく一方です。そのため、つぎとにジョインしてくれるメンバーを積極的に採用していきます。特に「エリアマネージャーをやりたい!」という方に、是非、参画して欲しいですね。

得意分野から“越境”できる人が活躍しています

──つぎとのエリアマネージャーとして活躍できるのは、どのような人財でしょう。

自分の守備範囲に籠ってしまわず、そこから“越境”できる人です。エリアマネージャーの仕事は一気通貫。地域の調査から、ビジネスの企画、資金調達、現地でのパートナー探し、法人設立、法的なリスクの検討、自治体へ提出する書類の作成、古民家改修の設計、施工会社との調整、マーケティング、現地スタッフの採用、施設の運営──。最初から、この全てをこなせるスキルを持っている人は、いないですよね。
 
つぎとにジョインしてもらった方は、最初は先輩エリアマネージャーの補佐役をしながら、仕事を覚えていただきます。その間、常に勉強を怠らず、自分がカバーできる得意分野をどんどん広げていって、別の分野に常に“越境”していってくれる、成長意欲の高い方が活躍できると思います。僕自身、元々は商業施設や展示施設のデザイン・施工を手掛ける会社の出身。ですから、施設のプランニングは得意分野ですが、ファイナンスは専門外。でも、メンバーの中に銀行やファンドの出身者がいて。その人達に教えてもらいながら、実践の中で、やり方を覚えていきました。

──成長意欲の高い人財にとっては、最適な環境ですね。では、メンバーの活躍を支えるために、小田切さんが日頃から伝えていることを聞かせて下さい。

メンバーに対して、口うるさく何か言うことはないですね。僕自身、担当プロジェクトを抱えていて、エリアマネージャーの仕事をしていますし。例えるとすれば、後方の指揮所にいて采配を振るうリーダーではなく、自ら敵陣に突っ込んでいって引っ張るタイプかもしれませんね。
 
ただ1点、心掛けていることは、メンバーがプロジェクトの中で何か意思決定する時、背中を押してあげること。僕らが手掛けているプロジェクトは、そのほとんどが「この地域で誰もやったことがない」もの。前例がないから、成功するかどうか分からない。それでも、エリアマネージャーは、ゴーサインを出さなければいけない時が、必ずある。恐怖心に似た心理にかられて、迷ってしまうことも。そのような場合に、メンバーに寄り添い、私も一緒に決断の責任を分かち合うようにしています。「一歩、前へ進もう」と。

──トップが責任を分かち合ってくれるのは、心強いですね。では最後に、求職者へのメッセージをお願いします。

有難いことに、つぎとには今、案件に繋がるご相談が多く寄せられています。ですから、人財さえ揃えば、事業拡大のペースは加速すると考えています。現在、メンバーは25名ですが、まずは2024年までに40名程度にまで増やしたい。そうすれば年間売上高は現在の3倍にまで成長すると見込んでいます。
 
何より、今、古民家は1年間に2~3万軒のペースで失われていっている。だから、「急ぐ必要がある」という危機感がありますね。一度、失われてしまえば、もう元には戻らない。僕らの事業を拡大していくことで、古民家を守り、地域の個性を守り、日々の暮らしを活性化していく。そのことに関心がある方は、是非、僕らの仲間になって欲しいですね。

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