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【エリアマネージャー】
きっと向かいたい先は同じだから、歩み寄って風景を継いでいきたい

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PROFILE

■小野 由貴(エリアマネージャー)

1950年、建築基準法の制定により、日本古来の建て方による住宅は新設されなくなり、既存のものは“古民家”と呼ばれるように。しかし、時代の流れと共に、その数を減らしている。そうした中、古民家を新たな視点で活用することにより、再生させるプロジェクトを手掛けているベンチャー企業が「つぎと」。単に建物を改修するだけではなく、古民家を軸に、地域を活性化するプロジェクトの運営まで携わっているのが特徴だ。今回は、つぎとのエリアマネージャーである小野由貴を取材。つぎとの手掛けるプロジェクトの内容や、仕事のやりがいなどについて、語ってもらった。

地域の人から鋭い一言

──最初に、小野さんが手掛けたプロジェクトの中で、一番、代表的なものを紹介してください。

では、鹿児島県の出水(いずみ)市で開催したイベント「DENKEN WEEK IZUMI」のことをお話しします。“DENKEN ”は「伝統的建造物群保存地区」の略で、地域の中にある魅力的な建物や街並みを地域内外の人に知ってもらうためのイベント。出水市には、江戸時代からの美しい地割が現存していて、国の「重要伝統的建造物群保存地区」に指定されている「出水麓」武家屋敷群があります。その武家屋敷群を舞台に、武家屋敷に鹿児島ゆかりのアーティストの作品を展示し、地域に観光客を呼び込み、街並みや建物、地域の豊かな食材などを楽しんだりしてもらおうと、つぎとが中心になってイベントを令和2年度から計2回、開催しました。
しかし、1回目のイベントでは地域の方々の協力を取り付けることはなかなか難しく、コロナ禍の中で元々想定した規模より縮小しての開催となりました。そして、1回目終了後、2回目のDENKEN WEEK IZUMIを準備している中で忘れられない一言をいただきました。

──何があったのですか。

「つぎとさんは出水にいつまでいるつもりですか?」。イベントの企画・運営では信頼できる協力者である方とお話ししている時に受けた言葉でした。我々はイベントとは別に、出水麓にある武家屋敷の1軒を宿泊施設に改修しています(令和4年6月末開業)。計画づくりから改修・資金調達・開業後の運営まで、事業実施主体として事業を推進しています。その資金を地元の金融機関さんから借り入れていて、返済には15年掛かる。ですから、「いつまでいるの?」と聞かれた時、「15年はいます!」と正直に応えました。
 
同じ目標を持つ地域パートナーと現地法人をつくり、共にリスクを取りながら当事者の一人として、プロジェクトに携わるのが、つぎと流。ただ、出水に関しては同じく現地法人に出資し合う地域パートナーはいないため、全てに関して矢面に立つ必要があります。イベント第1回は、予算もあったためイベント会社に運営を委託したこともあり、運営に地域の人々の協力を取り付けていくような、地道な活動に時間を割いていませんでした。その投げかけで、我々はまだ「ソト」の会社という認識なのだとわかりました。

諦めずに対面して話し続ける

──その後2回目のイベントではどのように変わったのか、詳しく教えてください。

2回目のDENKEN WEEK IZUMIは、より多くの人に開けたお祭りにしようと、1回目の運営に関わってくださったメンバーと考えました。アート作品の展示会場も、出水麓の市の公開武家屋敷だけでなく、民間の武家屋敷など数を増やし、隣接する商店街の一部店舗も舞台にしました。参画するアーティスト数も20人超えに。これは、1回目のイベントの反省を踏まえて、直接イベントの協力を市内の各団体、個人にお願いし、実現しました。中でも、商店街の同年代のカフェを営むすみとカフェさんは今年から運営側に入り、商店街・出水麓の一部の参画者等の調整は全て行なってくださいました。

それでも、長年大切な文化財を守り継いできた方達との、守り継ぐための「活用方法」については全てを理解いただいている訳ではないと思っています。
そのような状況の中で、印象的だったのは、イベント直前に、会場の1つであるつぎとがホテルとして開業する武家屋敷の前で、草むしりをしている年配の女性がいらっしゃったこと。ちょうどお向かいにお住いの方で、「イベントがあるって聞いたのよ。だから、綺麗にしないとね」と。その言葉で、反対意見もある中、理解してくれる方も近くにいるのだと非常に感動し、心強く感じました。その方は、ホテルが開業した今でも、筍や蕎麦を持ってきてくれたり、庭の草取りを手伝ってくれたりと、常に気にかけてくださっています。そうした地域の方々の協力のお陰もあって、2回目のイベントは1回目の来場者数を超え、多くの人に出水麓に訪れていただくことができました。

──つぎとのエリアマネージャーが、そこまで地域の方々の協力を取り付けるために努力するのは、なぜですか。

私達の事業は、ただ古民家を保存するのが目的ではないからです。イベントに活用するにせよ、ホテルやレストランに改修するにせよ、「古民家を軸に、ビジネスを立ち上げ、運営していくことで、地域の方々に利益を還元し、地域のにぎわいを創出する」ことが目的。建物の保存だけが目的ならば、建物を保存に耐えられるように改修すれば、それで終わり。ですが、地域でビジネスを運営していくとなると、地域の方々の協力が不可欠です。
 
ですから、つぎとのエリアマネージャーの一連の活動の中でも、最も大事なのは地域の合意を得ること。最も骨が折れますが、それが仕事の肝だと言えるかもしれません。ただ、頂戴した意見に対して全て同意するのではなく、双方の意見を擦り合わせて「合意」することが大切だと思っています。

──地域の合意を得るために、小野さんはどのような工夫をしていますか。

今も探り探りですが、真摯に向き合うことを心掛けていますね。理解を得るまでには、どうしても時間が掛かるもの。その間、地道なコミュニケーションを続けます。ただし、最初から全ての人の理解を得ようとは考えていません。新しいことを始めようとすると、反対する人たちは必ず現れるもの。頭を切り替えて、「反対派の方とは少しずつ歩み寄れれば良い」というスタンスで臨んでいます。

でも、私達つぎとは、リスクを取って地域で事業を推進しているので、総意を汲み取ることだけでなく、1民間事業者としても、まちづくりに関して真摯に向き合い続けたいと思っています。すぐに理解を得られなくても、数年後、数十年後、「あの時、お願いしてよかったね」と言ってもらえたらいいなと。
 
あと、顔が見えない企業に不安を抱えるものだと思うので、意見を面と向かってすぐ交わせるように、最近出水麓に引っ越しました。

──小野さん自身は、どのようにコミュニケーション力を磨いていったのでしょうか。

学生時代にアメリカ留学を経験したことと、つぎとにジョインする前、メディアを運営する企業で働いていたことで、真意は何だろう?と考える癖と、文化背景が異なる相手に対して諦めないで「伝えてみる」ことの重要性に気づいたと思います。「地方のまちづくりに関わる仕事がしたい」と思うようになったのは、田舎が嫌だと思って出て行ったアメリカ留学からの帰国後、実家のある東北の田舎の景色を見た時。「日本の田舎の風景はこんなに美しかったんだな」と。そのときに、地域独自の風景を残していくような仕事がしたいと思いました。

大学卒業後は、まずは民間企業で勉強しようと、外資系のIT企業でマーケティングを、ローカルメディアを運営する企業で取材・編集等を経験。その後、地方創生に関わるメディアを作っている企業に転職。そこで、つぎとの小田切社長と知り合う機会があって。ちょうど「会社を辞めてリフレッシュしよう」と、東北の実家に帰っていたタイミングで、小田切社長から「古民家再生事業を始めるから、参画しないか」と。
 
正直、大変な仕事だということは想像できたので悩みました。でも、私が大学時代からずっとやりたかった仕事。「こんなチャンスは二度とない」と思い、入社することを決めました。

少しずつ地域がにぎわっていく実感がある

──入社してみて、どのようなやりがいを感じていますか。

主に2つあります。1つは裁量権が大きいこと。エリアマネージャーはビジネスの企画から運営まで、一気通貫で携われる。しかも、つぎとの古民家再生事業は、継続していくことが前提ですから、途中で投げ出す訳にはいきません。でも、逆に言えば、自分の意思に関係なく、会社の判断で事業から撤退することはあり得ない。そうした心配をすることなく、責任の重さはありますが、裁量を持ってプロジェクトを推進できるのは、大きなやりがいになっていますね。

2つ目は、地域活性化の変化を肌で感じられること。自分が関わるプロジェクトによって、地域の新たな賑わいや風景の変化を目の当たりにできる。何年もかかりますが、やはり改修した空き家に人が行き交い、少しずつ賑わいができていく風景を見るととても嬉しく思います。

── では最後に、小野さんの今後の目標を教えて下さい。

出水は、姉妹都市の埔里鎮という町が台湾にあります。日本国内に限らず、地域独自の風景が開発によって少しずつ消えているのは海外でも共通だと思っているので、出水とプーリーの交流を機に、プーリーの伝統工芸などを残す仕事もできたらなと。また、出水市の武家屋敷に、台湾からの観光客を呼び込む企画を進めているところ。国を跨いだ学生同士の交流促進もできたらいいなと。私もそうでしたが、子供の頃からいろんな価値観や世界に触れて、多様性の中から、地元の美しい風景に誇りを持つ人が増えたらいいなと思います。

DENKEN WEEK IZUMI 2022は、姉妹都市である台湾の埔里鎮でも開催した。

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