富山 聖史(営業)
ショッピングセンターやスーパーなどに設営されたイベント会場で、「期間限定!」などと銘打って、特定の商品を販売する「催事場営業」。大阪のベンチャー企業・ANDホールディングスは、この催事場営業に特化して、ウォーターサーバーの販売を手掛けている。そこで今回は、同社の営業として豊富な実績を誇る富山聖史を取材。最近は若手に営業ノウハウを伝え、成長をサポートすることに、やりがいを感じているという富山に、催事場営業で成功する秘訣を語ってもらった。
ANDホールディングスの本社は大阪の堺筋本町にありますが、私のメインの仕事場はそこではありません。関西圏の商業施設やスーパーなどに出向き、そこでウォーターサーバーを販売するのが仕事。朝9時過ぎには商業施設やスーパーにクルマで到着。商材のウォーターサーバーや販促用のグッズ・サイン類は全てクルマに積み込んであるので、それを下して、販売ブースになるスペースへ搬入します。
販売ブースになるスペースは、畳4畳分くらい。そこにウォーターサーバーを5台ほど設置します。「この施設のお客さんは、ここからこう流れていくから、ここに目立つように商品を置いて…」とか、動線を考えながら販売ブースを設営。そして、施設のオープンと同時に、ブース前で販促用ティッシュを配り、お帰りの際にブースへ立ち寄っていただけるように宣伝するところから始まります。
実はそうでもないのです。というのも、私達がメインターゲットにしているのは、現在、ウォーターサーバーを使っている方々。「現在の製品に何らかの不満がおありなら、相談して下さい」というアプローチ方法をとっています。ウォーターサーバーに限らず、「いま、使っている製品に100%満足している」というケースは非常に少ない。たいていは、何らかの不満を抱えていらっしゃるので、ティッシュを受け取った方の中で、ウォーターサーバーをお持ちの方の大半は、ブースに立ち寄って下さるのです。
特に多いのが、現在、使っている製品が「天然水の入った水タンクが定期的に宅配され、そのタンクを自分で取り換えながら使う」タイプという方。この場合、タンク不要の製品をお勧めします。自宅の水道水をろ過して、おいしい水に変えるタイプ。水を購入する必要がないので、ランニングコストがだいぶ安くなる。さらに、「現在は製品をレンタルしている」というお客様であれば、新製品をローンで購入することをご提案します。そのほうが月々の支払いが安くなるからです。
コスト面のアピールのほかに、「水タンクを取り換えるのは大変ですよね」ということを訴えます。特に高齢の方の場合は、重い水タンクを装置にセットするのは重労働。それがなくなることをアピールすると、かなり多くのお客様が買い替えることに乗り気になって下さいますね。
その通りです。私自身の月間の成約件数は50件前後。それで、「妻が喜ぶくらいの給料」は稼いでいます(笑)。営業が終わったら、施設の終業時刻に合わせて撤収。基本的には自宅に直帰しますが、私はブース長といって、1つのブースに入るチームのリーダーを務めていますので、その業務のために本社オフィスに立ち寄ることもあります。1ヶ月のうち20日から21日程度、催事場に行くペースで働いていますね。
前職は焼肉屋です。アルバイトからスタートして、最終的にはオーナーさんから店長に抜擢していただき、店を切り盛りしていましたね。アルバイト時代から、「お店を盛り上げていけたらいいな」と、他のアルバイトのシフトを工夫するなど、いろいろ試みていたことが、オーナーさんの目に留まったようです。
仕事は充実していたのですが、ANDホールディングスを起業した廣田からお誘いを受けて。実は、廣田は学生時代に居酒屋でアルバイトしていた時の仲間。その居酒屋にお客さんを集める仕事だったのですが、廣田だけ、とんでもなく高い数字の集客を達成していた。「この顧客層には、このようにアプローチすれば集客できる確率が高い」とか、ものすごく分析していた。学生の居酒屋バイトで、PDCAを回すとか、あまりないですよね(笑)。
そうした姿を見ていたので、「廣田が始めるビジネスであれば、間違いない」という想いはありました。ただ、その頃ちょうどコロナが流行り始めて。焼肉屋も、ANDホールディングスもコロナ禍への対応で忙しくなってしまい、転職はいったん保留に。その後、コロナが落ち着いた段階で、晴れてANDホールディングスにジョインしました。
マネジメントへの意識が芽生えた時ですね。元々は、「営業職は自分で自分の数字を追い掛けるもの」という感覚で働いていましたが、現在は「どうやったら新人メンバーがお客様を掴むことができるだろうか」「新人にアドバイスしたいが、どう声掛けしたらいいのだろう」と。“他人の数字”を考えるようになりました。自分のアドバイスが功を奏して、新人メンバーが数字を上げていくと「嬉しい!」と思うようになった。それが一番、自己成長を感じた瞬間です。
マネジメントを意識し始めたのは、入社後、自分の数字がしっかり出せるようになった頃。一人の営業が出せる数字の限界も見えてくるようになったのです。他の人たちに成長してもらって、チームでの数字を上げれば、会社にもたらす利益は何倍も大きくなる。個人の成績として「誰にも負けたくない」という気持ちは今でもあります。でも、「AND ホールディングスとして他の会社に負けたくない」という意識も強くなりました。視野が広がり、視座も高くなりましたね。
若手はどうしても、「メリットをアピールしやすい」製品に注力しがち。だから、価格が安い製品をお勧めして、「ちょっと違うかな…」というリアクションのお客様には、もうそれ以上のご提案をしなくなる。そうしたシーンを見掛けた若手に対して、「もっとお客様に対して、実際に使うシーンを想像していただけるようにトークすれば、お勧めできる製品は沢山ある」とアドバイスしました。
例えば、小さなお子様がいらっしゃるのなら、「倒れやすいサーバーでは少し危ないですね。こちらの製品は倒れにくい構造で…」。高齢者の方には「この製品であれば、片手で操作できます。今は両手を使っていらっしゃいますよね?」。健康のためにウォーターサーバーをお使いの方であれば「こちらの製品は水道水をろ過するので、浄水器として考えれば高性能ですよ」。相手に応じて、それぞれの生活シーンに合わせたアピールのコツを伝えています。
ウォーターサーバーの販売事業を丸ごと任されるような立場を目指しています。現状は約20名のメンバーが在籍していますが、ウォーターサーバーの需要は今後も拡大し、私達の事業も大きく伸びていくと思います。もっと広い視野で全体を見渡し、将来のことを考えて先手を打てるようなスキルを磨いて、ANDホールディングスの発展に貢献していけたら、最高ですね。
募集要項をご確認の上、ご応募ください。