来たる2020年の教育改革、幼保無償化など、日本の教育における状況が大きく動いているここ数年。保育環境や幼児教育にも大きな変化が訪れるなか、埼玉県において、人気を集めているのが永寿荘の保育園だ。保育士たちがそれぞれの個性を活かしてイキイキと活躍しながら、地域に根ざした豊かな保育を提供している。園や保育にかける思いや今後のビジョンを、副理事長である永嶋正史氏に語ってもらった。
江戸時代から地域とともに歩んできた
埼玉県上尾市を本拠に、江戸時代から続く呉服屋で、現理事長はその5代目になります。いまでも地域のなかで「しんだなさん」と屋号で呼んでくださる方々がいらっしゃるほど、地域に根ざして活動してきました。たとえば30年前には当時めずらしかった専門店街モールを上尾につくることをはたらきかけた地元経済人のひとり。それがいまの「上尾モンシェリー」です。また、地元の行事で、大正時代以降は規模が縮小されていた「どろいんきょ」を復活させる旗振り役にもなりました。いまは埼玉県の無形民俗文化財に指定されています。さらに、理事長は、市の風物詩となっている上尾市花火大会の発起人のひとりでもあるんです。
時代の変化に柔軟だったことがいちばんだと思います。屋号は同じですが、その時代時代で「いま人々の生活になにが必要なのか」を考え、サービスや売るものは変えてきています。「守るものがあるからこそ、変わっていかなければならない」というポリシーがあるんです。地域のみなさんが安心して暮らせること、つまり「永寿荘のサービスがあることで『なにかあっても安心』だと思っていただくのが目的。その目的を達成するための手段にはこだわらない、というスタンスです。
その通りです。「少子高齢化が進むなかで、国の課題の解決に貢献したい」という想いがあり、地域にとって大切な子どもたちをしっかり育てていくことのお役に立とうと、保育園を開設することにしたのです。
お年寄りや商店街と交流する行事を開催
「地域に大きく開かれていること」です。昔であれば “縁側”や“井戸端”といった、地域のなかのコミュニケーションが成立する場があって、お母さんたちはそこで子育てについてのさまざまな知恵を得ることができていました。でも、いまそのような機能をもつ場は減っている。だからこそ、永寿荘の保育園は「地域の“縁側”のような存在になれたら」という想いをもって運営しています。
たとえば、子育て支援センターの併設。保育園に子どもをあずけている保護者の方でなくても参加できる、出産前のマタニティ教室や、0歳からのベビーヨガのスクールを開講しています。それらに参加された方々が、いずれ職場復帰をされたり、仕事を探したりする際に、「子育て支援でお世話になった、あの園ならよさそうだ」と思っていただければありがたいな、と思っています。
また、園の行事を、地域を巻き込んで行っています。永寿荘は保育と介護、両方の事業を手がけています。その強みを活かし、たとえばハロウィンパーティでは、園児と一緒に保護者の方々も仮装し、高齢者施設に訪問して、入居者と交流しています。同時に、地域の商店街と連携し、スタンプラリーも開催。それらのお店でスタンプを集めて来ると、プレゼントが手に入る、という趣向。スタンプを置くお店はできるだけ地域に長く根ざしているところにお願いしており、街のにぎわいづくりの面でも、多少は貢献できているのではないかと思います。
教育的な価値をしっかり提供していくことをめざしています。保育園はどうしても「長時間あずかること」がメインになりがち。ですが、永寿荘の園では「小学校にあがったときに、読み書きできる状態にしておく」ことをひとつの目標としています。
親にとって、子育てのいちばんの目標は「自立」ですから。つまり大人になったときに一人前の人間として生きられるようになっていれば、それがいちばんうれしいことだと思うんですね。我々がかかわるのは6歳までですが、この期間に「考えるチカラ」など、その人の芯となるものや自信の根っこをはぐくんであげられる園でありたいですね。そのため、ヨコミネ式をはじめとした教育的プログラムを各園で導入しています。
「私自身、幼児期の経験が人としての土台になっているな」と気づいたことかもしれません。文字を読むことが不得手でないこと、学校に上がってから勉強が好きになれたこと、「知らないことはなんでも知りたい」という好奇心豊かな人間になれたこと──。こうした私の性質の原点は、幼児期に親が熱心に教えてくれたおかげだと感じています。うちの園の子たちにも、ぜひそうした体験をしてもらいたい。そんな想いが理念につながっています。
年次や立場が違う先生どうしも、フラットに意見交換をしやすい風土だと思います。そうした風土を醸成するために、「園の流儀を押しつけるのではなく、それぞれの先生の個性や強みを大いに発揮してもらうように」という考えを徹底しています。保育園や幼稚園はトップダウンによる運営をしているところが多い印象がありますが、永寿荘の園はあまりそうしたピラミッドがありません。男性保育士さんを各園に1名以上採用しているのも、風通しをよくしているようです。女性だけしかいない職場でありがちな閉鎖的な風土になるのを防ぐ効果が出ていると思います。
くわえて、「挑戦する文化」を大事にしています。大学の受験制度が従来の“知識詰め込み型”から大きく変わってきています。その流れ波及し、幼児教育に求められているものも変わってきます。世の中の状況や学校教育の変化を常にキャッチアップしながら、現場も柔軟に変化していく必要があります。過去の慣例を踏襲するだけの運営であれば、先輩の意見が通りやすくなりますが、つねに変化していく職場だからこそ、若い先生の意見が認められるケースも多くなるわけです。
新人保育士を園に馴じみやすくする制度
全園で「チューター制度」を採用しています。新人一人ひとりに年の近い先輩がついて教える制度。この仕組みが有効ではないかと考えたのは、私自身の経験があったから。アメリカンフットボールの社会人チームに所属していたときのこと。そこは非常によいチームづくりができていて、日本一にもなりました。そのひとつの理由が「ブラザー制度」、つまり当園でいう「チューター制度」が有効に機能していることだと気づいたのです。
社会人チームには、優秀な選手たちが各大学から集まってくる。一人ひとり、ルールに対する考え方や、勝つための方法論などが違っている。ひとつにまとまるのが相当に難しい側面があります。個々のスキルは高くとも、全体としてまとまらないと大きなパワーは生み出せない。そういうなかで、年の近い先輩がチームとしてのルール、大切にしていること、チームとしてのDNAなどを直接、伝えてあげることで、無理なくまとまりが生まれていたのですね。
永寿荘でも同様に、「各園が大切にしていること」を毎日の仕事のなかで、近い存在の先輩が自然な形で伝えてくれたら──。そんな想いで制度を導入しました。新人保育士さんたちが以前よりも無理なく園になじめるようになり、良好な連帯感が生まれ、非常によい状況を生んだと思います。
ええ。保育は“人と人のサービス”なので、スタッフ一人ひとりが成長することが、提供できるサービスのクオリティをあげていく、いちばんの近道。研修や自己啓発の機会にはお金と時間を惜しまない方針です。
また、永寿荘は介護施設も展開しています。そこで、保育分野の職員と、介護分野の職員との合同勉強会を開催。子どもたちと高齢者の交流の機会をつくる際、保育士の先生たちからは「認知症のお年寄りにどう接していいかわからない。不安だ」という声があるわけです。当然、介護側の職員たちは子どもへの接し方がわからない。双方が知識を教えあうことで、世代間交流や地域交流をスムーズに推進できるわけです。
そうしたひんぱんな教育機会があるからでしょうか。「学ぶことが当たり前」という職場風土があるように思います。ほかの保育園の経営者さんから、「『研修に行きたくない』という職員がいる」といったお話をお聞きすることもあります。でも、永寿荘にはそういう人がまったくといっていいほどいないんですよね。
「選ばれる園づくり」を行なっていく
2019年に幼保無償化が始まりました。そのため、保護者の方々は、お子さんを通わせる園をフラットに選べるようになり、見る目がより厳しくなっていくでしょう。待機児童問題などを受け、近年、保育園の数は相当に増えましたが、子どもの総数自体は減っています。この10年以内に需給バランスが逆転する時期が来るでしょう。そのなかで、しっかりと“選んでもらえる園づくり”をしていきたいですね。そのためには「園の理念にいかに共感してもらうか」「園の取り組みの成果をいかに実感してもらえるか」が重要だと考えています。
世の中がどんな状況になっても、保育は必ず必要とされていく仕事。AI時代が来たとしても、保育は人間がやるべき仕事として必ず残っていくでしょう。安心して入ってきてもらいたいと思います。
就職にあたっては、「自分の可能性を広げられる場所はどこなのか」という視点で考えられる方もいると思います。実際に働いている人の様子や、その人たちがどんなキャリアを築いているか、見てみることをおすすめしたいですね。自分自身の将来を永寿荘で描こうと思っていただける方に出会えれば、とてもうれしいですね。
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