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【TOPインタビュー】「安全」はサービスではない。絶対に崩してはならない大前提なんです

スタッフを知るインタビュー

国内はもとより海外からの訪問客も多い東京。観光バスの激戦区であり、事業者が星の数ほどあるなかで、貸切バス事業者安全性評価認定制度の最高ランク「3ツ星」を獲得している会社は31社しかない(2020年02月28日現在、公益社団法人日本バス協会)。小田急、京王、東急といった大資本系列の会社が並ぶなかに、「東京遊覧観光バス」というドライバー十数名の会社が名を連ねている。さらに同社は、3ツ星認定の4年継続権も獲得。審査で90点以上を獲得したため、通常2年ごとに必要な審査が1回分免除されている。大企業と同レベルの安全性を確保できる背景を、代表取締役社長の石井誠に語ってもらった。

大手よりもきめ細かく安全指導ができる

貸切バス事業者安全性評価認定制度の最高ランク「3ツ星」を獲得しています。大手に引けをとらない安全性を確保できる理由はなんでしょう。

一人ひとりのドライバーに対する、細やかなケアに起因していると思います。東京遊覧観光バスは、大企業ではありません。経営者であり、運行管理者である私の目が届く範囲で事業を回している。私の想いや考えが、ドライバー全員に行きわたる規模なんです。たとえば、仕事終わりにドライバーが記入する運転日報。その記入内容に全部、私は目を通しています。そのうえで、「こういった状況が積み重なると事故につながるよ」とか、「こういうことを繰り返したらダメだよ」などと、ドライバーに直接、声をかけています。

ドライバーにありがちな問題点は、過去の感覚が抜けないこと。とくに無事故でやってきたドライバーほど、自分のやってきた習慣にこだわります。「こういうやり方で、事故を起こしてこなかったんだから」と。でも、時代によって安全ルールは変化していきます。ドライバーの習慣も、それにともなって変えていく必要があるんです。

どんな習慣を変えていく必要があるのですか。

たとえば、高速道路での休憩について。現在、長距離バスの運転手は、高速道路を2時間以上運転する場合、15分以上の休憩を取ることが法律で定められています。以前は、2時間よりも長く、休憩なしで運転してよかった。ドライバーは、その時代の自分の感覚より、ひとつ手前のサービスエリアで休憩しないといけない。ドライバーは運転の腕に自信がありますから、「いままで休憩なしで長い時間、運転していても問題なかった。大丈夫だ」と考えてしまう。その気持ちは、私にもよくわかります。でも、守るものを守らないと、のちのち大きな事故につながる危険が高まる。そうした考え方を浸透させるべく、日々、ドライバーとのコミュニケーションをはかっています。

「できません」という勇気も必要

社長が自ら指導しているのですね。そこまで安心・安全に注力する理由を教えてください。

「安全なくして経営はない」と考えているからです。東京遊覧観光バスにとって、安全に事故なく帰ってくることは、当たり前のこと。それはサービスではない。付加価値でもない。当たり前に達成されなければならない、大前提なんです。その前提が崩れてしまうことは、絶対に避けなければいけない。ですから、「安心・安全な走行が見こめない場合には、バスを絶対に動かしてはならない」とドライバーを指導しています。たとえ「早くバスを発車してくれ」とお客さまからいわれたとしても。

しかし、お客さまの不興をかってしまえば、もう二度と乗ってもらえないのではありませんか。

私は、「お客さまのいうことを100%通すこと=いいサービス」だとは思っていません。仮に、安心・安全がかなわないような要望を受けたとしたら、「それはできません」といえる勇気が、私たちには必要なんです。その姿勢は、ドライバー自身や会社はもとより、お客さまの身の安全を守ることになりますから。

たとえば、「シートベルトなんてしたくない」というお客さまがいたとします。なにがなんでも、バスを出すわけにはいきません。ドライバーには、「その場でしっかり説明して、お客さまにシートベルトを着用していただくように。もし拒否されるなら、発車できないことを伝えなさい」と指導しています。場合によっては、運転手の代わりに私がご説明します。それがバス事業者としての私たちの信念なんです。

ドライバーも運行管理者も経験した

石井さんがバス会社の経営者として、独自の哲学をもつにいたった経緯を教えてください。

私自身がドライバー出身で、さらに運行管理者をやっていたこともあることが大きいと思います。ドライバーの気持ちも、安全に運行できるように管理する側の気持ちもわかるんです。そのうえで、バス運行のプロフェッショナルとしてどうすればいいかを、経営者として考えています。

どんないきさつで、ドライバーになったのですか。

幼いころからクルマが好きでした。1秒でも早く自分のクルマに乗れるように計画を立てて、18歳の誕生日の当日に仮免許を取得。本免許取得時には、ディーラーに頼んで、その免許交付会場の駐車場に購入したクラウンを納車してもらった。免許証とクルマのキーをもらって、会場からクラウンを運転して家に帰りました(笑)。ですから、自然に「クルマを運転する仕事に就きたい」と。

また、私の父親がバスの乗務員だったこともあります。故郷である北海道の大手バス会社で、大きなバスを乗り回し、家族をやしなった――。そんな父へのあこがれがあったんです。そこで、北海道の運送会社に就職。2トン車や4トン車を運転しました。その後、上京して観光バス会社に転職し、あこがれのバス運転手になれたんです。

その後、運行管理者の業務も経験するわけですね。

ええ。バス会社で数年、働きながら、運行管理者の国家資格を取得。当社の前身となる会社に転職し、管理する側の仕事を経験させてもらいました。そして2012年、会社が分社化することになったのを機に、観光バス事業の経営を引き継ぐカタチで独立、社長に就任しました。

東京の知られざる魅力を知ってほしい

経営者に就任してから、安全面の強化以外に、取り組んだ施策はありましたか。

ハード面の拡充です。現在、東京遊覧観光バスの車内には、座席ごとにUSBポートを設置。お客さまは無料でご使用いただけます。また、大半のバスに、フリーのWi-Fiを搭載しています。昨今、パッケージツアーではなく個人で来日される海外のお客さまが激増していて、つねにスマートフォンを見ながら次の予定を決めていくスタイルの旅行をしています。それに対応するため、積極的に設備投資しています。

最後に、今後のビジョンを聞かせてください。

私は、会社を大きくしようとは思っていません。私の目の届く範囲で、いまの事業を進めていくのが理想です。会社の規模が大きくなって、私の想いが届かなくなったら、どこかでムリが生じる。規模の拡大を追求せず、従業員に不安・負担を抱えさせない環境づくりに注力したい。中小企業ならではのよさを、しっかり守っていきたいです。

また、目前に迫っている東京オリンピックを機に、社名の「東京遊覧」の通り、東京の観光地を遊覧する定期観光バスの運行を実現したい。定期観光バスが多数運行されている一方で、東京にはまだまだ知られていない見どころがたくさんあります。もっと東京のよさを知ってもらえるような観光旅行を開発していきたいですね。そのためにも今後、社内の旅行部門を事業部化したうえで、自社で旅行商品の開発と催行を実施していく予定です。

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