西谷 泰臣(株式会社Remind 人材コンサルタント)
「学歴や職歴がなくても成功できる」「若くして高収入が狙える」「どのようなビジネスでも通用するスキルが身につく」──。営業職に憧れる人は多いだろう。大阪市中央区に本社があるANDホールディングスは、未経験から営業に挑戦し、スキルを身につけられる会社だ。今回は、同社で初めて営業職に挑み、そのスキルを活かしてANDホールディングスのグループ会社に異動。現在は人材コンサルタントとして活躍している西谷泰臣を取材。営業を経験したことで、どのようなキャリアを開拓できたのか、語ってもらった。
前職は、新卒で入社した商社です。工場向けにブレーカーなどの部品を卸す事業を手掛けていました。中小企業ではありますが、年商250億円ほどの売上がある。関西エリアでは優良企業として知られていて。私は営業職で入社したのですが、「内勤業務を3年、経験しないと外に出さない」という社内ルールがあった。「お客様からの電話を取り、見積書を作成して発注して…」という仕事は、自分が憧れていた営業とは、あまりにも違う。それで、1年ちょっとで退職しました。
営業という仕事に憧れていたので、「3年も待てない」と。それに、事務職を経験した後、30代で営業に携わっている先輩たちの給料が、新人の私たちと、それほど変わらなかった。営業職といっても、この会社では「成績しだいで稼げる」というわけではないことを知って。長い目で自分のキャリアを考えた時、「この会社にいていいのかな?」と。それも大きかったですね。
子供の頃の経験が原点になっています。私の父親は大手ハウスメーカーに勤めていて、転勤族でした。そのため、私は小学校を3回くらい転校していて。毎回、すでにできあがっているクラスのコミュニティに飛び込んで行かないといけない状況でした。結構きつかったのですが、一方で、自然に人と打ち解けるコミュニケーション力が鍛えられたと思います。いざ就職となった時、自分の長所であるコミュニケーション力の高さを活かそうと思い、営業職を志望したのです。
ゼロから営業部門を立ち上げるタイミングでジョインできることです。当時、ANDホールディングスは人材紹介事業だけを手掛けていて。営業の事業を立ち上げようとしていたところだったのです。まったく何もない真っ白な状態の組織に参画し、自分の力で立ち上げていく。そうした経験が積めることが魅力でした。
順調とは言えなかったですね。ANDホールディングスは、今ではウォーターサーバーの催事販売に集中していますが、当時は個人宅向けの訪問営業も手掛けていて。私は家庭用WiFiと、一戸建て向けの地震保険という2つの商材の訪問販売に携わっていました。「これができれば、どんな営業でもできるようになる!」と前向きに捉えてチャレンジしたものの、肉体的にも精神的にもきつかったのは事実。どちらの営業でも1日最低100軒は回らないといけない。
気温36度の猛暑日でも、雪が降っている真冬でも、ひたすらピンポンを押す。でも、そうした日に訪問営業が来たら、皆さん話を聞くまでもなくインターホンを切りますよね(笑)。メンタル的に、落ちそうになりましたね。
自分一人では難しかったかもしれませんが、同じタイミングで同年齢のメンバーが入社していて。いわば同期ですね。何でも相談できたし、「一緒に頑張ろう!」と。「仲間がいるから頑張れた」という部分が確かにありました。ベンチャー企業ならではかもしれませんが、「仲間と一緒にゼロから事業や組織を作り上げる」という意識が、心の支えになってくれたと思います。
そうやって継続しているうちに、訪問先で話を聞いてもらえて契約につながる例が増えてくる。成功体験が積み上がってくると、やりがいも大きくなっていって、壁を乗り越えられたのだと思います。
人材コンサルタントの仕事に携わっています。特に、製造業を得意分野にしていて。工場で働きたい人材と、求人を出している製造派遣会社さんとをマッチングするのが役目。当社がメディアに出した広告を見て、応募してきた方々に電話して、希望条件を詳しくヒアリング。条件に寄り添って、その人が活躍できる転職先を探しています。
「心を開いてもらう」という、営業で培った対人スキルが大きく役に立っています。仕事を探している人は十人十色。その人のホンネを聞き出して、その人ならではの希望条件を把握しなければ、うまくマッチングできない。無理に条件に合わない会社に入っても、すぐ辞めてしまうことになり、本人にとっても会社さんにとっても、何もいいことはありません。その点、私は求職者の懐に入り、ホンネを聞き出すのが得意なほうだと思います。
例えば、北海道にお住まいで仕事を探していた女性。道内で希望条件に合う仕事が見つからなくて困っていて。そこで、「本当に北海道でなければならないのか」を見つめ直していただき、愛知県になら希望に合う仕事があることをお伝えしました。そして、その会社でどのようなキャリアを積んでいくかや、実家を離れる経験を積むことのメリットまで含めてお話ししたところ、「自分の可能性を広げたい」と、愛知の会社へ転職することを決断。今、その会社で元気に活躍しているそうです。
ANDホールディングスは今、拡大期に入っているところ。毎年のように20歳前後の若いメンバーがジョインしてくれています。そうした方々の成長をサポートする役割を果たして、社内の地固めに貢献したい。そうした取り組みを続けていれば、自分の次のキャリアも拓けていくだろうと考えています。
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