こんにちは。バックオフィスで働くトーコです。
やっと梅雨らしく、大阪は雨の日が続いています。
梅雨が終わるとカンカン照りの日々...考えるだけでゾッとします(o;TωT)o"
✦ Column written by Re/CTO✦ 2026/06/26
最近、SNSを見ていると不思議な気分になります。
毎日のように流れてくるんです。
☺︎ 3時間でアプリを作りました
☺︎ Claudeだけでサービス公開しました
☺︎ もうシステム会社はいらない
まるで魔法の杖を手に入れた子供たちが、「見て見て!空を飛べるようになった!」と騒いでいるように見える。
もちろん、それ自体は素晴らしいことです。
私もAIは大好きです。
毎日使っています。
正直、20年前の自分に見せたら腰を抜かすと思います。
でも、そんな光景を見ながら、私は少しだけ既視感を覚えています。
昔、RPAというものが流行りました。
その後、ローコードが流行りました。
ノーコードも流行りました。
そのたびに言われた言葉があります。
☹︎ もうエンジニアはいらない
☹︎ 誰でもシステムが作れる
そして数年後、同じ言葉を聞くことはなくなりました。
なぜなら、その後に必ず現実がやってくるからです。
今回のAIコーディングも、私は同じ流れの中にいると思っています。
違うのは速度こと。
今回は異常に速い。
今まで数年かけて起きていたことが、数ヶ月単位で起きている。
だから世の中は熱狂している。
新しいサービスも生まれている。
新しい会社も生まれている。
それはとても良いことです。
でも、熱狂の中では見えなくなるものがあります。
最近は、『 AIを使うから安く開発できます! 』という会社も増えてきました。
確かに安くなります。
これは事実です。
でも私は昔から、安いことよりもなぜ安いのかが気になります。
スーパーで売られている100円の弁当を見たら、みなさんも少し気になるでしょう。
利益は出るのか。
材料は大丈夫なのか。
何を削っているのか。
開発も同じです。
安くなったのなら、どこかのコストが削られています。
問題は、それが何なのかです。
私が最初に気になるのはセキュリティです。
企業の開発では、
顧客情報も扱います。
設計情報も扱います。
機密情報も扱います。
AIを使うこと自体は問題ありません。
むしろ使った方が良い。
問題は、そのルールが守られているかです。
☑︎ クライアントの情報管理ルール
☑︎ 契約書の取り決め
☑︎ 持ち出し制限
☑︎ 学習データへの利用制限
それらを理解した上でAIを使っているのか。
あるいは、安さを優先するあまりその説明すら飛ばしていないか。
そこが少し気になります。
AIは便利です。
でも便利さは、責任を消してくれることは決してありません。
最近よく耳にする言葉があります。
" バイブコーディング "
バイブスとは、雰囲気とかノリとかそんな意味です。
つまり、AIと会話しながらノリ(雰囲気)でシステムを作る。
これがバイブコーディングです。
実際すごいんです。
本当に作れてしまう。
昔なら何週間もかかっていたものが、数時間で動きます。
だからみんな感動する。
私も感動します。
でも、感動するのは作った日だけです。
問題は半年後にやってきます。
システムは必ず壊れます。
仕様は必ず変わります。
機能追加も必ずあります。
その時に起きる会話があります。
クラアント: どこが悪いんですか?
開発会社 :わかりません...
クラアント:いつ直りますか?
開発会社 :わかりません...
クラアント:でも、御社が廃発をしたんですよね?
開発会社 :はい...AIが作りました...
ホラー映画より怖い。
幽霊はまだ見える。
でも原因がわからないシステムは見えない。
そして、一箇所直したら別の場所が壊れる。
さらに直したら別の場所が壊れる。
気が付けば、誰も触れないシステムが完成する。
私はこういう光景を何度も見てきました。
ここで一つ、勘違いしてはいけないことがあります。
AIが変えたのは、システムを作るコストです。
システム開発そのものではありません。
☑︎ 要求を整理する
☑︎ 設計を考える
☑︎ テストする
☑︎ 運用を考える
☑︎ 記録を残す
☑︎ 再現できるようにする
これらは何一つ変わっていません。
でも今、コードを書くことだけが劇的に楽になった。
すると人は勘違いします。
開発そのものが簡単になったと。
でも、実際には違います。入口だけが広くなったのです。
最近、面白い現象が起きています。
昔ながらのエンジニアの価値が上がっています。
AIを使えない人ではありません。
AIが作ったものを理解できる人です。
ぐちゃぐちゃになったコードを見て、原因を見つけ修正できる人。
そういう人が求められています。
これはなかなか皮肉です。
AIによって誰でも作れるようになった結果、中身を理解できる人が一番貴重になった。
まるで自動翻訳が普及した結果、本当に外国語がわかる人の価値が上がったようなものです。
私はAIコーディングに反対ではありません。
むしろ大賛成です。
これからも進化するでしょう。
そして開発コストはもっと下がると思います。
でも、開発の本質は変わりません。
システム開発とは、コードを書くことではありません。
再現性を残すことです。
たとえ自分たちがいなくなっても、別の会社が見れば理解できる。
別のエンジニアが見れば再現できる。
それが本来の開発です。
AIは開発を簡単にしました。
でも、開発そのものを簡単にしたわけではありません。
目の前のお金を稼ぐために、その本質を飛ばしてしまう。
私はそこに一番危うさを感じています。
AIが進化するほど、価値が上がるのはコードを書く人ではありません。
考える人です。
そしてその考える力こそが、これからの時代に最も高価な技術になるのだと思っています。
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