社長、今日も語ります
トーコの取材ノート

IT導入って何からすればいいの?

〜IT導入に大切な事前準備〜
トーコの取材ノート社長、今日も語ります
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こんにちは。バックオフィスで働くトーコです。
皆様はそろそろ仕事納めではないでしょうか?トーコは来週までお仕事です!
今日も年末の仕事の合間にコラムをしたためています✎....


✦ Column written by Re/CTO✦ 2025/12/26

IT導入って、何からすればいいんやろか?

今回ご相談いただいたのは、北九州で鉄鋼業を営む社長さん


見た目はガタイがよくて、ちょっと強面。
最初は正直「怖そう…」と思ってしまったんですが...(笑)
話し始めると豪快に笑う姿と方言まじりのトークが、だんだん心地よくなっていくすごく人間味のある方でした。

そんなクライアント社長が、打ち合わせの際にこう言いました。

ーー IT導入ってなんかせないかんのは、分かっとるんやけどよ。ぶっちゃけ、何から手ぇつけたらええんか分からんのよ...

同じように感じている経営者の方、実は多いのではないでしょうか?

相談内容 ◤ " 流行ってるらしいから入れてみた" の落とし穴 ◢

クライアント社長は、少し気まずそうにこんな話もしてくれました。

ーー 前にな、“このツール今はやってますよ!”って営業に言われてな。周りも入れとる言うけん、うちも流れに乗っといた方がええんかなと思って入れてみたんよ

最近は、クラウド型の業務システムとか、SaaS※のサービスとか、「これさえ入れればDX!」みたいに見えるツールが本当にたくさんあります。

※SaaS(サース):インターネット(Web)上のサービスにログインして使うタイプのシステムのこと

例外なく、クライアント社長も「世の中の流れに遅れたらいかん!」と思われシステム会社の営業より勧められたツールを導入してみたそうです。

でも、その結果はというとーー

====
・現場からは「また新しいの増えたんか…」とため息
・使い方が分からず、結局、一部の人しか触らない
・既存のやり方(紙・エクセル・口頭)も並行して行っている
====

という状態でした。
クライアント社長は、少し申し訳なさそうにこう本音をこぼしました。

ーー せっかくお金も時間もかけて入れたんやけどなぁ...このまま“ 誰もちゃんと使わんシステム ”にしとくのが、一番イヤなんよ。なんとか“ 社員がふつうに使える状態 ”まで持っていきたいんよね。

この言葉を聞いて、社長(以下 本田)がこう言いました。

ーー クライアント社長!システムそのものがダメというより「システムの入れ方」と「考える順番」 が最初からズレていたのかもしれないです


☆★☆☆★☆☆★
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「社員がふつうに使える状態」にするための順番に戻す

じゃあ、どうすればよかったのか?
そう問われた本田は、クライアント社長に“ 順番 ”を変えるという話をしました。

クライアント社長が言う 「社員がふつうに使える状態」 に近づけるために、いま目の前のシステムの細かい仕様の話はいったん横に置き、

ーー このシステムを“みんながふつうに使えるようにする”ために、いったん立ち止まって「導入の進め方」から一緒に整理し直しませんか?

と本田は提案しました。
そこで本田がクライアント先で実際にやったことは、大きくこの3つでした。

そこで本田が実際に行った3つの内容をご紹介します

①現場の人に「一番しんどい作業」を聞く

本田はまず会議室ではなく現場に向かいました。業務担当やベテラン社員さんに一人ずつ声をかけて、

ーー 今の仕事で、いちばんしんどいところってどこですか?
ーー 正直、“ここ改善してほしい”って思ってる作業はどこです?


と、雑談に近い温度感でヒアリング。出てきた声をその場でノートにメモしながら、「現場のしんどさの正体」 を集めていきました。

そこで出てきたのは、

====
・同じ数字を紙とシステムに二重入力している
・月末だけ残業がドッと増える
・「誰かに聞かないと分からない作業」があちこちにある
====

といった、“現場あるある”な悩みでした。


② 自社の仕事の流れを、ざっくり紙に書き出す

集めた現場の声をもとに、本田はホワイトボードと紙を使って今の業務フローをその場で書き起こしました。

● 誰が → どの順番で →どんな紙やエクセルを使っているのか

これを矢印でつなぎながら整理。
「ここだけ二重入力になっている」「ここで紙に一回戻っている」といった、ムダや詰まりポイントが、みんなの目にもハッキリ見えるようになってきました。

これにはクライアント社長も

ーー こうやって見ると、うち、同じこと何回もやっとるな……

と苦笑いしていたそうです。


③ 「まずどこから良くするか」をひとつ決める

全部を一気に変えようとせず、本田は会議の中でこう提案しました。

ーー この中で、“まずここを良くしたら一番インパクトが大きい” って思うのはどこですか?

社長・ベテラン社員・現場のキーマンの3人で話し合い

====
・まずはこの1〜2か所を良くする
・残りは、その結果を見てから少しずつ手をつける
====

という “一歩目のターゲット” を決めました。
そのうえで本田は、

ーー じゃあ、その部分を楽にするために今のシステムをどう直すか・運用をどう変えるかを一緒に考えましょう

という流れで、ようやく具体的なシステムの見直しに入っていきました。

この順番を踏んだことで、 "なんとなくIT化"ではなく“この仕事を楽にするためのシステム改善”をしよう。
と、みんなの中で目的がそろっていったそうです。

ツールは目的じゃなくて、“現場を助ける手段”

打ち合わせから戻ってきた本田が、社内でこう言っていたのを覚えています。

ーー ツールは目的じゃなくて、あくまで“手段”なんよ

そして、さらっと続けていました。

ーー “このツールを入れること”がゴールになった瞬間に、だいたい失敗する。そうじゃなくて、『どの仕事を楽にしたいか』『どんな状態になりたいか』を決めてから、それを叶えるためにツールを選ぶ。これが何よりも重要なんよ。

それを言われて、「本田が見ているのは、いつも ツール ” じゃなくて“ 現場の未来 なんだな」と感じました。
こういう時に本田ってすごいな....って心から思います。(ディスってないですよ!多分...笑)



▼「うちでもできるかも」と思った方へ


ここまで読んで、「正直、うちも“なんとなくIT導入”になってるかも……」
と思った方に、トーコ目線で【明日からでもできそうな一歩】を少しだけまとめておきます_φ(・_・

▼△▼△▼△▼△▼
①いきなりIT担当やベンダーと話す前に、現場の人に「どこが一番しんどいか」を聞いておく
②きれいな図じゃなくていいので、自社の仕事の流れを手書きで書き出してみる
③その中から、「まずここから変えよう」と1箇所だけ決めてみる
▼△▼△▼△▼△▼

ここまで出来たら、もう立派な IT導入のスタートラインに立っています!


❁相談したい方はお気軽にLINEからどうぞ❁

❁今日のまとめ❁

クライアント社長とのお話を通して、私がノートにメモしたのはこんな言葉でした。


IT導入のスタートは「ツール探し」じゃなく「現場の課題探し」


最新テクノロジー=正解 』ではないということです。

もし、「IT導入って、何かはしないといけない気がする。でも、何をしたらいいか分からない」と感じている方がいても、
それは“ 遅れている ”というより、みんなが立っているふつうのスタートラインなんだと思います。

そしてそこから一歩踏み出すなら

ーーうちの現場で、一番しんどいところってどこだろう?

と考えてみること。そして、それをちゃんと言葉にしてみること。これが導入の1歩目なんです。
IT導入は“システムを入れること”じゃなく、“現場を助ける一歩目”が重要だと今回のクライアント社長ををみて感じました。

コラムを書き始めて、気づけばもう2か月。「もっと多くの方に届けたいなぁ」と日々思っています。
社会のなかの“ITリテラシーの差”が少しでも小さくなって、どの会社も、どの現場の人も、当たり前にシステムを味方にできるようになったら――
きっと1社1社が、今よりもっと“心も会社も”豊かになれると私は本気で思っています。
そんな未来を、みなさんと一緒に少しずつ作っていけたらうれしいです。
このコラムが、そのための小さなヒントになっていたら…トーコはすごくすごくうれしいです。


/// コラムを毎週見てくださりありがとうございます。来年もどうぞよろしくお願いします! ///
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