事業家を知る
CAREER

「弱点」から生み出した「個性」を武器に
自分なりの「事業家像」をつくる

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プロフィール

西田 侑史(メディアPR事業部 部長)
※所属部署・部署名・肩書・仕事内容などは取材当時のものです。

「事業家創発」の社是が物語るように、イシン社内には、次なる事業家へと飛躍を遂げようとする候補者たちが数多く育っている。創業事業『ベンチャー通信』の発行を担うメディアPR事業部において、26歳の若さで部長を務める西田氏も、その一人である。新卒入社からわずか4年目での要職抜擢だが、その歩みを聞けば、決して順風満帆とはいえないようだ。若き事業家候補を育てた、濃密なイシンでの経験とは、どのようなものだったのか。

自信に満ちて入社した初年度は歴代ワーストの営業成績

――西田さんは26歳の若さでメディアPR事業部の部長に就任されています。入社当時から、期待を集めていたんでしょうね。

 とんでもありません。事実は、まったくその逆なんです。それなりに自信をもって入社した2023年度、1年目の営業成績は、実は恥ずかしながら歴代ワーストだったんです。
 振り返れば、イシンに入社した経緯も決して順調だったわけではなく、大学院入試に失敗して、就職活動を始めたのは8月でした。私が在籍していた大学は9割以上が大学院に進むという世界だったので、就活はまったくの想定外であり、しかも、わずかな就職組もほとんどが就職活動を終えていたタイミングでした。
 それでも、「1年目から経営者営業ができる」というイシンにめぐり会えたのは幸運でした。周囲のように、大手企業で下積みを経験するつもりはありませんでしたし、「すぐに市場価値を高め、人生を取り戻したい」という想いが強かったので。
 ですから、イシン入社後も、自分なりに努力は重ねたつもりでしたが、いきなり鼻をへし折られたかたちでした。

――入社時点では、かなり自信はあったのですね。

 いま思えば、「自分は優秀だ」という思い込みも、まったくの勘違いでしたね。小学校では児童会長、中学でも生徒会長を務め、陸上では県大会で優勝、大学も名の知れた学校に入学できました。結果だけを切り取れば、確かに優秀といえないことも無かったのかもしれませんが、そのせいか当時の自分は「メタ認知力」が決定的に欠如していました。1年目を終え、「お前、ヤバいぞ」と上司たちからのフィードバックを受けたんですが、その「ヤバさ」にさえ、まったく気づけていなかったんです。「でも、頑張ってるしな、自分…」というのが、当時の私の受け止めでした。
 今振り返れば、努力の方向性も間違っているし、そもそも「努力した」といえるレベルでもなかったんですが。

「すべてを言語化し、 どこまでも理詰めで考える」

――そうした初年度でしたが、早くも4年目でのメディアPR事業部部長への就任と、どのようにつながっていくのですか。

 「自分は頑張っている」とは思いながらも、成果が誰よりも出ていないことは紛れもない事実だったので、まずは「どうすれば営業がうまくいくのか」をひたすら考えました。周囲の上司や先輩たちの営業も研究しましたが、そこで見せつけられたのは、経営者の懐に入り込むコミュニケーションスキルや経営の知識をはじめとする「力量」の違いでした。特に、相手との距離感を縮めるための感覚や感性が決定的に欠けているという自分の「弱点」が見事に浮き彫りになりました。
 わずかながら、自分を客観視できた結果、このまま突き進んでも売れるビジョンがまったく見えない状態に陥ってしまったので、さすがにこれまでの人生のように「何も考えずに、ひたすら努力」するだけではダメだろう、とは思いました。そこで、感性という「弱点」を補うためにどうすればいいのか、突き詰めた結果、行き着いたのが、「すべてを言語化し、どこまでも理詰めで考える」というアプローチでした。
 同時に、上司や先輩たちから、「このままでは、お前のビジネス人生は終わってしまうぞ」と厳しく突き付けられたこともあり、努力のレベル感も徹底的に上げました。

――どのような努力をしたのですか。

 当時はまだコロナの影響も残り、リモートワークが一部実施されていたのですが、自分を厳しく律するために毎日出社を申し出て、誰よりも早く出勤し、誰よりも遅くまで勤務し、商談やロープレを重ねました。始業時と退勤時には上司にチャットでメッセージを入れることを宣言し、その生活を半年間、一日も欠かさず続けました。
 そうした努力がすぐに営業成績に表れることはなかったのですが、そうした私の姿を上司たちが見てくれていたのかもしれません。3年目からリーダーに抜擢され、新卒メンバー3人のマネジメントを任せてもらうことになりました。これが大きな転機になったと思っています。

「再現性のある組織をつくってほしい」 明確に意識した会社の期待

――リーダーに就任して、なにが大きく変わったのでしょう。

 部下を持ったことで、自分やチームの業績を「自分事化」できるようになったことですね。私自身が、上司たちに導かれ、「誰が上司かによって、部下の人生が変わる」という現実を体験したことで、「他責にしている場合じゃない」という覚悟が生まれたのは事実です。この「自分事化」の意識は、部長に就任してからも日々問われていますが、この頃に得たとても大きな財産だと今でも思っています。
 リーダーになって半年後には、「どこまでも深く向き合うように」と、部下を1人に減らされたことで、その後の半年間はこれまで以上にその部下の成長を「自分事」として四六時中、考えるようになりました。その結果、彼を「新人MVP」に引き上げることができたのは、私にとってイシンでの最初の「成功体験」といえるかもしれません。この1年のリーダー経験が、その後の部長への抜擢につながっていくことになります。

――部長への抜擢に対しては、どのような期待を感じていますか。

 私が前任者から部長職を引き継いで、明確に意識したことは「再現性のある組織をつくってほしい」という会社の期待でした。思えば、これまで歴代のメディアPR部長はいずれもトップ営業でもあり、部長でありながら組織全体の業績もけん引してきたような人たちでした。しかし、部長への依存度が強く、属人性が高い組織になってしまっていたのも事実でした。
 その点、私は歴代ワーストの営業成績から始まったように、その後も華々しい実績を重ねたこともありません。しかし、だからこそ見える景色もあり、「言語化」と「理詰め」で築いた自分なりの営業スタイルは、私にしかない「個性」なのかもしれない、と思えるようにもなっています。そして、その「個性」を磨き上げてきた経験が、新しい事業家像として、今こそ求められているという感覚もあるんです。

自分の人生のハンドルをちゃんと握れている感覚がある

――部長に就任してからの日々は、いかがですか。

 まだ半年ながら、いきなり壁にぶつかっています。10人のメンバーをまとめ、短期の業績を達成しながら、中長期の戦略を描くという、これまで経験したことのない難題に直面し、いずれにおいても結果が出せずにいます。まるで1年目に経験した閉塞感に似た感覚がありますが、決定的に違うのは「変数」の多さです。自分一人の力でできることはあまりにも限られていて、なにをどう調整すれば、どう組織全体に効いてくるのか、まだ掴めていないのが現状です。「自分事化」できている範囲もまだまだ狭く、自分の力量のなさを痛感する日々です。
 そんな自分でも、支えてくれるメンバーがいることも、当時との違いですね。先日も、1ヶ月を終えて未達だった業績を受け、メンバーには頭を下げたんですが、そのメンバーは年下の私に向って、「部長になった西田に、恥をかかせられない」といってくれて。込み上げてくるものを抑えながら、必ず結果で返そうと心に誓いました。

――まだ4年目ながら、濃密な経験をしているようですね。

 今の立場に就いたからではありませんが、イシンへ進んだ選択は間違っていなかったと、心底思いますね。すべてを自責にできる今の環境に、本当に感謝しています。自分の人生のハンドルを、ちゃんと自分で握れている感覚がありますから。
 それに自分には、「人間、圧倒的な努力をすれば変われる」という、ある種の楽天的な考えがあるんです。それは、大学時代に所属していたアメリカンフットボール部で培われたものです。自分は幼い頃から身体の線が細くて、「身体を大きくする」という当時のミッションは、自分にとってなによりも困難なことだったんです。しかし、1日7000キロカロリーぐらい摂り続ければ、人間でかくなるんです。努力で人間は体質までも変えられるという原体験です(笑)。
 この原体験とこれまでのイシンでの経験が支えとなってくれるので、この先、どのような困難に直面しても、きっと乗り越えていけると自信があります。

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