■竹之内 慶祐(FA事業部 国内営業部 兼 事業推進部)
東京スカイツリーや明石海峡大橋、タンカーや建設機械など、強靭さが求められる構造物・機械には、厚みのある鋼板が使われる。厚板の加工には、ガス炎やプラズマ、レーザなどの熱を当て、鉄を溶かして切断する技術が不可欠。その分野で、国内トップクラスのシェアを誇るのが日酸TANAKAだ。専門性の高い製品を扱っている同社だが、営業職には異業種からの転職者で、業界についての知識が全くないところからスタートした人材もいる。今回は、その一人である竹之内慶祐を取材。未経験者として入社した彼が、どのようにして産業機械のエキスパートへと成長できたのか、その軌跡を語ってもらった。
レーザ切断を解説する動画を製作しました
日酸TANAKAの営業部門を支援するのが主な役割です。例えば、個々の案件について成約につなげるための提案書を作成したり、お客様に当社製品の特徴を理解していただくための資料を制作したり。営業ノウハウの共有や営業の進捗管理など、より売上アップにつながる仕組みづくりについても企画立案から推進まで担当しています。時には営業拠点へのクロージング支援や関連会社への立会業務も行います。
また、製品や技術を紹介するイベントで展示・配布する資料制作も担当。例えば、日酸TANAKAの関連会社が、工業系の学校への進学を希望している中学生向けの展示会を企画した時、レーザ切断機について解説する動画を制作しました。中学生達が工業系の学校を卒業した後の進路として、当社グループを選択してもらえるように、「レーザ切断機ってカッコいい!」と思ってもらうのが目的です。
そこで私は、Z世代より若い層に親しみを感じてもらえるように、読み上げソフトを使って音声を付けたり、有名な著作権フリーのキャラを利用した動画製作をしたのです。また、動画の中で、レーザ切断機で加工した鉄板がどこで使われているのか、陸橋、タンカー、自動車輸送船などの画像で説明しました。ニッポンのモノづくりを発展させることに、大きな貢献をしているのが一目で分かるように。結果、少なくない中学生が足を止めてくれて、中には興味を持ち、レーザ切断機についてもっと知りたいと、質問をしてくれた学生もいました。
中学生に分かりやすく伝えられたので、今後、技術に詳しくない方向けへの説明資料の作成にも応用できます。大きな手応えを感じていますね。
経験・知識よりも人材の意欲を重視する採用方針
いいえ。実は文系で、大学では経済学を専攻していました。そして新卒で就職したのはハウスメーカー。就活の時、「身近な分野である“住”関連の仕事であれば、需要がなくなることもなく、生活を安定させられる」と考えたからです。入社後は、注文住宅の営業を担当。仕事は「面白い!」と感じていたのですが、一般のお客様向けなので、土日・祝日に出勤する必要がある。それが負担で、転職することにしたのです。
その後、「前職での経験が活かせて、土日・祝日に休める法人営業の仕事」を軸に、エージェントを通じて転職先を探したところ、日酸TANAKAと出会いました。決め手は主に2つ。1つは、「とても安定していて、長く働けそうだ」と思ったこと。前職を早く辞めてしまったので、「転職はこれ1回きり。次の会社で定年まで働く」という気持ちでのぞんでいたので、日本酸素ホールディングスのグループ企業であることに、安心感がありました。
経営母体がしっかりしているからか、福利厚生が充実しているのも魅力でしたね。現在は借り上げ社宅制度を利用し、会社からの通勤が1時間圏内で、十分に広いところに住んでいます。また、入社時には研修がしっかりしていることにも助けられました。業界経験が無いなかで入社したので、入社時は戦力になれるのか不安がありました。しかし、新入社員研修では1ヶ月程で会社や製品を学ぶ機会があり、その後もしばらくは先輩にすぐ相談できる環境だったので、1年後くらいには自然と会社に溶け込むことができました。一人前までは時間がかかりましたが、入社時にしっかり教育いただけたことは感謝しております。
「やる気」を重視して人材を評価する風土があることです。正直、当時の私は産業機械について、何も知らなかった。メーカーへの営業についても未経験。それでも、面接の時、「キャリアアップしたいです」と話したら、担当の方が「意欲のある方は大歓迎ですよ」と。その時、「この会社なら、未経験スタートでもエキスパートへ成長できそうだ」と思い、入社を決めました。
「悔しさ」をバネに自己成長を遂げる
苦労は多かったですが、「お客様と上司に育てていただいた」と感じています。入社後、製品知識などを学ぶ研修を経て、愛知県の拠点に配属されました。知識も経験もノウハウもないまま、知らない土地で営業しなければならなくなったのです。しかも“一見さんお断り”という風土があって、営業に行っても門前払いされることも。話を聞いていただく機会を得ても、私には知識が不足している。私一人では商談にならない時期が続きました。
転機になったのは、あるお客様との出会いです。日酸TANAKAの製品をよく使っていただいているお得意様のエンジニア。職人気質の方で、私が要領を得ない説明をしていたら、「もっと勉強しろ!」と、一喝されてしまったのです。それまでの人生で、他人から怒鳴られた経験がほとんどない。ですから、とても落ち込みました。でも、「このままではいけない」と強く思いましたね。
それからは、叱っていただいたお客様も含めて、「可愛がってもらう」という態度で接しました。以前は「プロっぽく見せよう」という意識が強かったのですが、お客様のほうが専門知識を持っているのだから、「すみません、分からないので、教えていただけませんか」と。すると、皆さん、「しょうがないなあ」などと言いながら、優しく教えて下さる。そのお陰で、専門知識を学び、どのような加工現場で、どのような機械にニーズがあるのか理解できるようになっていきました。
その成果が出たと感じた経験があります。入社して3年目の時、営業担当エリアを変更することになったのですが、その時点で大きな商談が進んでいたのです。橋桁を製造しているお客様で、既に日酸TANAKAのガス切断機やプラズマ切断機を導入していただいていた。しかし、そのお客様は、より複雑な形状の橋梁の仕事を請け負うようになっていたので、私は「きれいな断面で厚板を切断できる最新鋭のレーザ切断機を導入してはいかがでしょう」と提案。検討していただいた結果、乗り気になっていただいたのです。
ところが、私が担当ではなくなると聞いて、先方の社長さんと技術責任者の方が、「竹之内さんの提案だから購入するつもりだった。担当が替わるなら、購入を取りやめたい」と。嬉しく思うと同時に、「日酸TANAKAとしては困ったことになったな」と思いました。当時の上司に相談したところ、「担当エリア変更後も、引き続き機械納入含め私が担当する」という体制をつくって下さった。お客様と深い信頼関係を築き、それを成果につなげることができたので、自信がつきましたね。
上司の言葉に励まされて営業を続けられた
入社して営業を始めたばかりの時のことです。とにかくお客様に相手にしてもらえなかったので落ち込んでばかりでした。その当時の上司の方に「失敗してもいいから、気軽に話すように心がけて!」とアドバイスを受けたのです。当時の私は「正確に、ミスなく説明できなければいけない」という気持ちばかりが先走っていて、マニュアルを読み上げるような話し方になっていたのです。それでは、お客様も心を開いて、課題を打ち明けて下さらないですよね。
上司のお陰でそのことに気付き、気持ちが楽になりました。その後は、肩の力を抜いて商談できるようになり、お客様から様々な困りごとを聞き出せるようになったと思います。あのアドバイスがなかったら、日酸TANAKAの営業を続けられなかったかもしれません。
技術知識や営業スキル、それにマネジメント力を高めて、より高いポジションへと昇進することが目標です。日酸TANAKAは研修制度や資格取得支援制度が充実しているので、スキルアップのためにそうした制度を活用していきたい。また、私が営業時代に経験してきた成功事例を社内に共有し、部門全体の営業力をアップさせることに、貢献したいと思っています。
募集要項をご確認の上、ご応募ください。