自社の強みって……
ー うちはモノづくりには自信あるんやけどね……『御社は何に強いんですか?』って聞かれると、急に言葉が出てこんのよ。
今回ご相談いただいたのは、製造業を営む社長さん
長く取引しているお客様も多く、「腕には自信がある」とおっしゃいます。
でも、ある日ふと気づいたそうです。
_/_/_/_/_/_/
“自社の強み”をちゃんと説明してくれって言われたら、うちの社員誰も説明できひんのちゃうかな?_/_/_/_/_/_/
そこから社内で
ー うちの強みって何やと思う?と聞いてみたところ...
会議室は、思っていた以上に
シーン…… と静まり返ったそうです。
相談内容 ◤ 自社の強みをうまく言えない ◢
クライアント社長は、BtoBの部品を作っている製造業を営んでおられます。代替わりして数年、会社として次のステージに上がりたいタイミングでした。
・長年付き合いのあるお客様はいる
・リピートもあるし、価格勝負だけをしているつもりはない
・「品質」と「対応力」には自信がある
でも、" それをどう 言葉 と 形 にしたらいいのか、全然わからん "と、営業用の資料づくりで完全に行き詰まってしまったそうです。
クライアント社長はまず社内で、ベテラン社員・営業担当・若手メンバーに「うちの強みって何?」と聞きました。
返ってきた答えは、こんな感じでした。
・昔からの付き合いが多いことですかね
・品質には気をつけてます
・納期にはちゃんと間に合わせてます!
どれもまちがってはいない。
でも、“どこの製造業も言ってそうな言葉” ばかり....
そこで、「これは社内だけでやってても前に進まへんな……」と感じられたタイミングで、ご紹介を通じて弊社(株式会社システムデバイステクノロジー/レンタルCTO)にご相談をいただきました。
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システム開発はコードじゃなく、“現場の言葉”から始まる
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◆ 「提案力です!」だけでは通用しない時代
この話しを社長(以下 本田)から聞いたとき、最初に出てきたのがこの言葉でした。
ー 今は『提案力です!』だけやと、ほんまに通用しない時代やと思うよ「どこが強いんですか?」と聞かれたときに
====
・提案力です
・対応力です
・安心をご提供しています
・お客様から信頼されています
====
こういう
フワッとした言葉だけだと、相手の頭の中には
何も映像が浮かばないんですよね。
むしろ「
あ、具体的に言える実績がないのかな?」と、
逆に信頼を下げてしまうこともあります。
じゃあ、今求められているのは何かというと...
本田いわくポイントはこの3つ。
今、求められている「強みの証拠」はこの3つ
① 成果や効果を“数字”で語る
・不良率がどれぐらいか
・リードタイムをどこまで短縮したのか
・クレーム率がどれくらい減ったのか
・リピート率や継続年数はどうか
完璧な数字じゃなくていいんです!
「こういう指標で見たら、うち、ここは自信あります」 という数字がひとつあるだけで、説得力がグッと変わります。
② 顧客の声・第三者のレビュー
自分で「自社はすごいです!」と言うよりも
・お客様のコメント
・評価・表彰歴
・一緒に仕事をしたパートナーの声
といった、
第三者の言葉のほうがずっと強いです。「うちのことを、他の人の口からどう表現してもらえるか?」ここに、強みのヒントがたくさん隠れています。
③ ビジュアルで伝わる“見える化”
文字だけで伝わらないときは
・Before / After の図
・工程のイメージ図
・実績のグラフ
・写真付きの事例紹介
など、
「見た瞬間にわかる何か」 があると、一気に伝わりやすくなります。
ー 強みは、“見える化してこそ”伝わる。これは、本田がよく言っている言葉です。
◤じゃあ実際、どうやって言語化していったのか?◢
ここからは、いつものようにトーコの“社長インタビュー”です。
「クライアントの強みって、どうやって一緒に見つけていったんですか?」と聞くと
ー 最初にやったのは、「強みを考える」のではなく「過去のエピソードを思い出す」ことから始めたんだよと思いもよらない回答が返ってきましたヽ(; ゚д゚)ノ !!
本田が行った4つのステップをご紹介します
▼ ステップ1:とにかく“うまくいった話”をしゃべってもらう
・お客様に喜ばれた案件
・他社から切り替えてもらった理由
・無茶な納期をなんとかしたこと
・クレームから関係が良くなった事例
など、とにかく「印象に残っている案件ベスト5」を社長と主要メンバーに話してもらったそうです。
このときに大切なのは「うちの強みは何ですか?」ではなく
「どんな場面で、一番役に立てたと思いますか?」と聞くこと。
そこから出てきたエピソードを、クライアント社長と一緒に一つずつ整理していくと
◆―――――――
・他社が断った難易度の高い加工をやり切った
・小ロット・短納期にも柔軟に対応している
・設計段階から一緒に考えることで、トラブルを未然に防いでいる
―――――――◆
など、“
らしさ ”がだんだん見えてきたそうです。
▼ ステップ2:エピソードを「数字」と「お客様の声」に変換する
出てきたエピソードを、そのまま並べるだけだと“
いい話集 ”で終わってしまいます。そこで本田は
ー この話を“ 数字 ”か“ 他人の言葉 ”で表現するとしたら、どうなりますか?と、あえて問いかけていったそうです。
例えば...
◆―――――――
・『他社が断った加工ができた』→
実は年間○件以上、難易度の高い相談が来ている・『トラブルを未然に防いでいる』→
納品後の不具合率が同業平均より○%低い・『対応が早いと言われる』→
初回レスポンスは基本○時間以内―――――――◆
など、完璧なデータじゃなくても
「うちはこのラインにこだわってます」 と言える数字を一緒に探していきました。
同時に、お客様へのヒアリングや、過去メール・アンケート・面談メモなどから「お客様の生の声」を拾っていきました。
▼ ステップ3:一枚の“強みシート”にまとめる
最後に、それらを
A4一枚の“ 強みシート ” に整理。
◆―――――――
・左側に「エピソード」
・真ん中に「数字・実績」
・右側に「お客様の声・コメント」
―――――――◆
という形で「◯◯に強い会社です」という一文を、
「その裏にあるストーリーと証拠」ごと見せられるようにしたそうです。この一枚ができたことでクライアント社長はもちろん、営業担当や若手メンバーも
ー うちは◯◯に強いんです。その理由は…と、自信をもって話せるようになったとのことでした。
▼ クライアント社長が一番うれしかった“変化”
このプロジェクトがひと段落したあと、クライアント社長がぽつりとこんなことを話してくれたそうです。
▼△▼△▼△▼△▼
一番良かったんはな
“ 社員が自分の会社を誇らしそうに話すようになったこと ” やねん▼△▼△▼△▼△▼
強みを言葉と形にすることは、ただ営業資料をカッコよくするためじゃなくて
・社員一人ひとりが「うちの会社はこれができる」と自覚する
・その自覚が仕事への姿勢や発言にじわじわ表れてくる
そんな
“内側の変化” を生むきっかけにもなるんだと、私はこの話を聞いて感じました。
ちょっとウルってきたことは内緒ですΣ(,,ºΔº,,*)
❁相談したい方はお気軽に
LINEからどうぞ❁
❁今日のまとめ❁
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強みは “ 見える化してこそ ”伝わる
そして “ 見える化されてこそ ”社内にも浸透する\
「うちは提案力があります」「安心・信頼が強みです」こうした言葉は、決してウソというわけではないはずです。
でも、それだけでは
“誰の頭にも映像が浮かばない” 時代になってきています。
だからこそ
- エピソードを思い出す
- 数字とお客様の声に変換する
- 一枚の“強みシート”にまとめる
という流れは、どんな会社さんでも少しずつ始められることだと思います。
このコラムが、「
うちでも、ちょっとやってみようかな」と思うきっかけになれば、バックオフィスの片隅からこっそりガッツポーズしておきます◡̈
/// 同じように悩む方の少しでも何かのヒントになれば.... ///